(政界地獄耳)「憲法の理想」も壊す安倍 - 日刊スポーツ(2017年6月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1833565.html
http://archive.is/2017.06.04-034136/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1833565.html

★首相・安倍晋三の政権は数々の「新しい考え」を打ち出した。日米関係、中東政策、日中、日韓関係。いずれも日本外交の歴史から逸脱し、長年の積み重ねたものを壊したといっていい。沖縄米軍基地政策は従来の政権と基地に関しては大筋で同様だが、沖縄県や県民に寄り添うことを拒否した。経済政策の失敗はもとより、天皇陛下のお考えを無視し、望まぬ形で退位を進めた。集団的自衛権の解釈変更と安保法制の成立により憲法を事実上骨抜きにした。今は共謀罪を成立させ、憲法改正に向けた反対勢力の排除に躍起だ。
★ほかにも妙な理屈の閣議決定の乱発、メディアへのどう喝や御用メディアの育成。最近では国連にかみついてみたり、首相の望む「美しい国」を形成しつつある。しかし、党内も野党もメディアもこの無秩序な政権を正面から批判できないでいる。恐怖政治が浸透した証拠なのか。だがやっと声が上がった。
★「憲法は現実に合わせて変えていくのではなくて、現実を憲法に合わせる努力をまずしてみることが先ではないか。『事実上はこうだから憲法をこう変えましょう』と、憲法が現実を後から追っかけて歩いているなんて、憲法にはひとかけらも理想がないのかと言いたくなる。憲法には1つの国家の理想がこめられていなければならない」「安倍政権は不思議な政権」「(首相の言うことは)理解のしようもない。私は9条はさわるべきではないと思う」。語ったのは元衆院議長・元自民党総裁・外相を歴任した河野洋平だ。
★さすがに我慢できなかったのだろう。それでも現職の議員たちはだんまりを決め込む。河野の後輩にあたる宏池会会長の外相・岸田文雄が情けない。「9条を守る」というので精いっぱい。自民党の幅の広さや、自由闊達(かったつ)な議論は権力の前に消えた。もう1度言う。情けない。(K)※敬称略

関連サイト)
「自民が一貫して改憲政党というのは誤り」河野氏が講演 - 朝日新聞(2017年5月31日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170531#p12