原発避難いじめ、横浜の生徒が呼び掛け 「味方はいる」 - 東京新聞(2017年6月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017060102000135.html
https://megalodon.jp/2017-0601-0912-05/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017060102000135.html

東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から横浜市に転居し、いじめを受けて不登校になった中学一年の男子生徒(13)が、母親とともに共同通信の取材に応じた。いじめを訴えた自殺が後を絶たないことに心を痛め、苦しい状況にある子どもたちに「味方になってくれる人は絶対にいる。一人で抱え込まないで」と呼び掛けた。
男子生徒が横浜市に引っ越したのは、小二だった二〇一一年夏。学年に関係なく遊んでいた福島と違い、転校先では友達グループがはっきり分かれ、なじめなかった。「違和感しかなかった」という男子生徒は、名前に「菌」を付けて呼ばれるいじめを受けた。
いじめがエスカレートしたのは小五になった一四年。同級生らとゲームセンターに出掛け、遊興費を負担した。生徒側は一五年に第三者委員会の調査を申し入れ、昨年十一月の報告書は金銭授受を「『いじめ』から逃れようとする精いっぱいの防衛機制(自己防衛)だった」と指摘した。
それにもかかわらず、岡田優子教育長は「金銭の授受はいじめとは認定できない」と発言。男子生徒は「教育委員会にもいじめられないといけないのか」と感じた。母親も「いじめ問題は訴えても無理なのかと疲れ切った」と振り返る。
心の支えになったのは、「味方だよ」「一人じゃない」とのメッセージが並ぶ岐阜市立加納小から送られた寄せ書き。男子生徒は「自分が声を上げた意味はあった」と確信した。
母親も「全国の人がおかしいと声を上げてくれたことが心強かった」と感謝する。
今年三月、ようやく当時の担任らから謝罪を受け、男子生徒は「やっと時計が進んだ」と話す。今はフリースクールで友達としゃべったり、校外学習を楽しんだりしている。
いじめを苦に自殺した子どものニュースを見るたびに悔しさがこみ上げる。「どこかに相談できる場所はあるから、どうか自殺なんてしないで」と訴えた。