加計学園問題「行政ゆがめられた」 前文科次官、文書「確実に存在」 - 東京新聞(2017年5月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017052602000138.html
http://archive.is/2017.05.26-010115/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017052602000138.html

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画を巡り、文部科学省前川喜平事務次官が二十五日、都内で記者会見し、「総理のご意向だ」などと内閣府から文科省に伝えられたことを示す記録文書について、「確実に存在していた。担当課から説明の際に見せられた」と証言した。獣医学部を新設する特区が認められたことについては、「極めて薄弱な根拠のもとで認められ、行政がゆがめられた」と指摘した。 
安倍首相の意向が文科省の政策判断に影響を与えた可能性が出ていたが、菅義偉(すがよしひで)官房長官が文書の存在を否定し、同省の省内調査でも確認できなかった。当時の同省事務方トップが存在を認めたことで、文書の信ぴょう性が高まった。前川氏は国会への証人喚問について「要請があれば応じる」とも明言した。
前川氏は会見で、民進党が入手した八枚の文書について、「昨年九月から十月に(獣医学部を担当する)専門教育課から報告を受けた際に受け取った。同課で作成し、幹部の間で共有されたことに間違いない」と述べた。
文書の中の「官邸の最高レベルが言っている」との記載について、「一番上なら総理、その次なら官房長官だと思う。もしそうなら気になることだと思った」と、自身の受け止めを振り返った。
獣医学部の新設は、文科省などが「獣医師の人数は足りている」などと反対して五十年以上も見送られてきたが、昨年十一月になって、安倍首相を議長とする国家戦略特区の諮問会議で決まった。
この経緯について「本来なら、農林水産省から獣医の人材需要への明確な見通しが示されるべきなのに、それは示されず特例を認めることになってしまった。極めて薄弱な根拠のもと認められた」と指摘。「大臣(松野博一文科相)からも懸念が示された」と証言した。