岸田氏「9条改憲は不要」 首相との違いが鮮明に - 東京新聞(2017年5月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051202000130.html
http://megalodon.jp/2017-0512-0940-13/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051202000130.html

岸田文雄外相は十一日の参院外交防衛委員会で、安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法九条に自衛隊を明記する改憲を提案したことを巡り、九条改憲は当面不要とした自身の一年半前の発言について「考え方は変わっていない」と明言した。党総裁の首相とは考えに違いがあることを認め「九条については、世の中にいろんな意見がある」と指摘した。現職閣僚が首相の考えと違う発言をするのは異例。岸田氏は次期総裁選に意欲をみせている。
岸田氏は自民党の派閥・宏池会(岸田派)会長としての見解だと前置きし、民進党藤田幸久氏の質問に答えた。岸田氏は九条改憲を不要と考える理由に、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の成立を挙げ「厳しい安全保障環境の中、九条や平和憲法との関係でどこまで対応が許されるのか。大変な議論を行い結論を出した」と強調した。
岸田氏はこの後、宏池会会合で改憲について「議論を深めたい。首相の発言と私の考えはどこが違うのか確認してみたい」と語った。
岸田氏は安保法が成立した直後の二〇一五年十月、宏池会の会合で「当面、九条自体は改正することを考えない。これが私たちの立場だ」と表明。「宏池会憲法に対する愛着は独特のものがある」と話した。
宏池会池田勇人元首相が一九五七年に創設。軽武装、経済重視を掲げて「保守本流」を自任し、池田氏ら四人の首相を輩出したハト派の名門派閥。岸田氏は今年四月の宏池会政治資金パーティーで「安倍時代もいつかは後が巡ってくる」と「ポスト安倍」に意欲をにじませた。
一方、首相の出身派閥である清和政策研究会細田派)は、首相の祖父で改憲を目指した岸信介元首相の系譜。森喜朗氏、小泉純一郎氏、福田康夫氏の各首相を輩出した。 (新開浩)