(政界地獄耳)与党内の改憲ハレーションが今後の政局左右 - 日刊スポーツ(2017年5月5日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1818318.html
http://archive.is/2017.05.06-021454/http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1818318.html

憲法記念日の3日、首相・安倍晋三自民党総裁のメッセージと断った上で、憲法改正について「20年を新しい憲法が施行される年にしたい」と初めて期限を区切った。首相は現憲法を「みっともない」と発言したこともある改憲論者。この改憲宣言は、順法精神の中にある首相として改憲を政治日程に上げること自体が順法精神に悖(もと)ると思うのだが、加えて改憲の発議は国会がすべきで首相ではない。つまり党総裁と首相を使い分けて実態を作っていくのだろう。なにやら首相夫人は公人か私人かのグレーゾーンと似ている。
★しかしそれで合点がいくのは現憲法に強い愛着のある天皇陛下の退位を進め、改憲の工程に反対する護憲勢力の口を封ずるために東京五輪開催のためという口実を隠れみのに共謀罪の成立を急いでいることだ。与党・公明党代表山口那津男は3日、憲法改正について「国民の理解が大きく広がることが大切だ」と機が熟していないとしたが、首相の改憲宣言後には「自民党憲法改正草案とは違った視点だ」と公明党の言う加憲論として評価した。外相・岸田文雄は昨年10月5日、岸田派(宏池会)の研修会で「当面、憲法第9条自体は改正することを考えない。これが私たちの立場ではないか」と首相との考えの違いを鮮明にさせたが、次期首相候補は大宏池会構想をてこに党内で反旗を翻すことができるのか。
★先んじてもう1人の首相候補、元幹事長・石破茂は首相の改憲宣言を「自民党が今までの議論の積み重ねの中にはなかった考え方」として、首相の改憲議論が国会で進まない焦りを指摘するとともに、否定的な考えを示した。野党の声はともかく、与党内にこれから起こるハレーションが今後の政局を左右しそうだ。(K)※敬称略