「憲法9条何のために」 PKO派遣で息子亡くした母 - 朝日新聞(2017年5月3日)

http://www.asahi.com/articles/ASK516H98K51UTIL049.html
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3日は憲法記念日。だが、岡山県倉敷市の高田幸子さん(84)が忘れられないのは翌4日だ。24年前のこの日、国連平和維持活動(PKO)で文民警察官としてカンボジアに派遣されていた息子の晴行さん(当時33)が武装集団に襲撃され、命を落とした。
オランダ軍に警護されながら車で移動中だった。自動小銃などで撃たれ、他にも日本の文民警察官4人が重軽傷を負った。
派遣の根拠は1992年6月成立のPKO協力法。「戦闘行為に巻き込まれ、武器を使ったら、憲法9条が禁じる海外での武力行使に直結するのではないか」。違憲とみる意見も根強い中、平和主義を掲げる9条の枠を超えない活動内容にするため、設けられたのが、停戦合意などの「PKO参加5原則」だった。
現地の治安はどうだったのか。手がかりの一つが、遺品の中にあった。晴行さんが出せずに持っていた手紙。今も県警に預けたままだが、「昼も夜も銃弾の音でいてもたってもいられない」という趣旨の内容が書かれていた、と覚えている。晴行さんが襲われる前にも金品強奪事件が起き、けが人が出ていた。「戦場のような過酷な場所。早く撤収していれば、命は助かった」