改憲国民投票 早くて五輪後 与党も「国政選挙と分離」 - 毎日新聞(2017年5月2日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170502/k00/00m/010/120000c
http://archive.is/2017.05.02-001901/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170502/k00/00m/010/120000c

国会が今後、憲法改正案を発議した場合、初めての国民投票は国政選挙と切り離して実施される見通しになった。複数の自民党関係者が明らかにした。次期衆院選は2018年12月までに行われ、19年夏には参院選がある。一方、国会の憲法審査会では論点整理が始まったばかりで、改憲項目を絞り込むめどは立っていない。国民投票は20年夏の東京五輪パラリンピック後になる可能性が高い。
就任以来、改憲に意欲を示してきた安倍晋三首相は来年9月の自民党総裁選でさらに3年の任期を確保したうえで、国民投票の時機を探ることになりそうだ。
憲法第96条は国民投票について、単独実施と国政選挙との同時実施の両方を認めている。しかし、00年に設置された衆院憲法調査会中山太郎会長)では「国民投票と国政選挙を一緒に実施すべきではない」という認識で与野党の委員が一致した。(1)政権を争う国政選挙と改憲の賛否を問う国民投票は性質が違う(2)規制が多い選挙運動と、原則自由であるべき国民投票運動の調整が難しい−−などが理由だった。
その後、自民・公明両党と民主党(当時)はそれぞれ、議員立法国民投票法案を国会に提出。両案を審議した06年の衆院憲法調査特別委員会で、民主党の質問に対し、自民党は「同時実施を禁止する規定を置いているわけではないが、国会の政治的判断で担保する」と答弁した。
法案提出者の一人だった自民党保岡興治憲法改正推進本部長は「憲法調査会以来、議論の方向性ははっきりしている」と語る。中山氏も毎日新聞のインタビューに「国民に改正の全容が見えやすい。国政選挙とは別にすべきだ」と述べた。
国会が発議するまでには(1)改正項目の絞り込み(2)それに基づく改正原案の作成(3)衆参両院の憲法審での原案の審査−−という手順が必要だ。特に両院の憲法審と本会議で議決する原案の審査は「一国会では不十分だ」(与党関係者)という。国政選挙以外にも、19年10月には消費税率10%への引き上げが予定されている。増税は政権への逆風になるとみられ、19年後半から20年前半の国民投票は現状では想定しにくい。【小田中大】