「共謀罪」に数々の懸念 きょう審議入り - 東京新聞(2017年4月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040602000131.html
http://megalodon.jp/2017-0406-0906-41/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040602000131.html


共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を巡り、5日の衆院議院運営委員会の理事会で佐藤勉委員長(自民)は、審議入りするための衆院本会議を6日に開くと職権で決めた。安倍晋三首相も出席し、法案の趣旨説明と質疑を行う。
過去の共謀罪法案では、犯罪を実行していない段階で心の中で考えたことを処罰することにつながるといった批判や、捜査機関の拡大解釈によって一般市民が適用対象になることに懸念が示されてきた。政府は今回の改正案で、適用対象を「組織的犯罪集団」とし、犯罪計画への合意だけでなく資金の確保や現場の下見などの「準備行為」を要件に追加。「テロ対策」を強調し、「共謀罪とは全く別物」と説明するものの、多くの懸念や疑問の声が上がっている。
まず、犯罪計画の「合意(共謀)」と「準備行為」の境界が不明確だ。今国会で野党がメールやLINE(ライン)を使った場合に合意が成立するのか質問すると、金田勝年法相は「手段は限定しない」と答弁。一方で、メールやLINEは犯罪の実行準備行為と認定される可能性もある。
「準備行為」は危険性がない行為でもいい。例えば十人で犯罪に合意し、誰か一人がATMからお金を下ろしただけで、ほかの九人が一網打尽に処罰されることになる。
新たに盛り込まれた「組織的犯罪集団」も論点の一つだ。政府は「一般市民は対象になることはあり得ない」と説明するが、通常の団体でも性質が変わったと判断されれば認定される。
本当に「テロ対策」なのかどうかも焦点だ。政府が共謀罪創設の根拠とする国際組織犯罪防止条約は国連ではテロ対策条約に分類されていない。
政府は「現行法で対処できない穴」としてハイジャックテロ、化学薬品テロ、サイバーテロの三事例を挙げているが、共謀罪があれば未然防止できるのか、検討が必要だ。 (山田祐一郎)