教育勅語の道徳教材活用 文科相も否定せず 野党反発 - 東京新聞(2017年4月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040502000125.html
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菅義偉(すがよしひで)官房長官は四日の記者会見で、教育勅語について、道徳を含めた学校教育の教材に使用することに関し「憲法教育基本法に反しない適切な配慮の下で取り扱うことまでも、あえて否定すべきではない」と重ねて強調した。松野博一文部科学相も会見で「道徳を教えるために『教育勅語のこの部分を使ってはいけない』と私が言うべきでもない」と述べた。野党は反発を強めている。
松野氏は三日、歴史教科書に教育勅語が掲載されていると指摘。「勅語の歴史的背景」を教えるなら問題ないとの考えを示したが、この日は道徳にも言及し、菅氏と足並みをそろえた。
政府は三月三十一日の閣議で、教育勅語について「学校で、憲法教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を決定。「教材」の位置付けは不明だったが、菅氏らは歴史教育だけでなく道徳教育にまで踏み込んだ。親孝行や学問の奨励など、普遍的な部分まで否定すべきではないとの考えからで、菅氏は「政府として積極的に教育現場で勅語を活用する考えはない」とも説明した。
勅語は一九四八年に国会で全文の排除・失効が決議された経緯があり、民進党大串博志政調会長が四日の記者会見で「安倍政権の戦前回帰の動きを如実に示すものだ」と指摘。山井和則国対委員長は記者団に「『いざという時はお国のために身を差し出そう』というのが勅語の本質だ。親孝行を教えることは勅語を持ち出さなくてもできる」と批判した。
衆院議院運営委員会理事会では、同党の泉健太氏が政府答弁書は国会決議に反するとして与党の見解を求めた。与党は持ち帰った。