福島第一廃炉 危険手当 大幅「中抜き」 業者証言、日額300円の例 - 東京新聞(2017年4月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017040290065942.html
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東京電力福島第一原発の収束、廃炉作業で、事故直後から放射線量の高い現場で働く作業員らに支払われてきた危険手当が大幅に中間搾取(中抜き)され、支給時に日額「三百円」に減額された事例があったことが、本紙が入手した内部資料や関係者の証言で分かった。これまでも中抜きの横行は公然とささやかれてきたが、具体的に裏付けられたことはほとんどなかった。
東電によると、危険手当は「(工事の)設計上の労務費の割り増し分」。工事費に上乗せする形で業者に支払っており、事故直後からの「従来分」と、二〇一三年十二月以降の発注工事から上乗せした「増額分」の二種類ある。
東電は金額の詳細を明らかにしていないが、広瀬直己社長は国会などで、それぞれ日額「一万円」が代表例だと説明している。
本紙が入手したのは、一四年四月〜一五年三月に実施された原子炉建屋付近のがれき処理などの工事関連の書類。発注者は東電で「東芝」が元請け、グループ会社の「東芝プラントシステム」が一次下請け。作業員は主に三次下請け業者が集め、賃金を支払った。
書類は、二次下請けから三次下請けへ支払われた工事費の項目があり、二種類の危険手当のうち「従来分」に対応する手当が「震災対応協力金」の名目で記載されている。放射線量の高い順に(1)原子炉建屋や建屋と同レベルの環境下は「二千五百円」(2)その他の構内は「千円」(3)免震重要棟や入退域管理棟施設内が「三百円」−となっている。
いずれも東電が代表例とする一万円と比べ、大幅に少ない。二次下請けの建設会社の社長は本紙取材に対し、「事務手数料や振込手数料として徴収した」と中抜きを認めた。この社長は「うちが受け取ったのは五千円((1))、二千円((2))、七百円((3))だった」と語り、既に一万円を大幅に下回っていたと証言する。
東電は取材に「作業員と契約しているのは雇用主である業者で、東電としてどうこう言える話ではない」と回答した。 (鈴木龍司)