安保法施行1年 戦闘に巻き込まれる恐れを認めないまま - 東京新聞(2017年3月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017032902000118.html
http://archive.is/2017.03.29-002100/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017032902000118.html

自衛隊の海外活動を拡大する安全保障関連法の施行から二十九日で一年となった。この間、陸上自衛隊南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊を派遣する首都ジュバでは、昨年七月に大規模衝突が発生。先月、一部黒塗りで公表された当時の部隊の日報は、現地情勢について「戦闘への巻き込まれに注意が必要」と記していた。「巻き込まれ」の懸念は、国会論戦や本紙報道でも再三指摘されたが、政府は認めようとしなかった。 =柳沢さんウオッチ<2>面
稲田朋美防衛相は二十八日の記者会見で「駆け付け警護の新任務付与など、具体的な取り組みが進んでいることは安保法の目的を実現する上で極めて重要」と評価した。現地の治安については「極めて厳しい。派遣部隊の撤収が無事に終わり、帰国するまで緊張感を持って進めたい」と述べた。
現地情勢が厳しいのは今に始まったことではない。ジュバで大規模衝突が起きた昨年七月十日の日報は、市内で「戦闘が生起」と明記。十二日の日報まで「戦闘への巻き込まれ」の懸念を連日報告した。
昨年秋の臨時国会では、現地の治安が懸念される中でPKO部隊の派遣期間を延長し、隊員の武器の使用範囲を拡大する駆け付け警護を付与することの是非が論戦の焦点となった。
民進党大串博志政調会長は、昨年九月末の衆院本会議で「紛争に巻き込まれる可能性をどう認識しているのか」と追及。安倍晋三首相は安全を確保できる範囲内で駆け付け警護を実施するとし、「巻き込まれ」の危険性を否定した。
当初は陸自が廃棄したと説明した日報を、防衛省が今年二月に公表すると、政府は姿勢を一転させた。今月、南スーダンから五月末までに撤収する方針を発表した。 (新開浩)