森友学園 これで終わりではない - 東京新聞(2017年3月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017031402000124.html
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大阪の学校法人「森友学園」は小学校設置のための認可申請を取り下げた。籠池泰典理事長も退任する−。これで幕引きと考えるなら甘い。不可解な取引の全容解明を果たすべく国会招致が必要だ。
「学校が建設できなかった責めを負う。子どもと保護者に申し訳ない」−。籠池氏は十日の記者会見でこのように謝罪し、退任について語ったものの、一連の疑惑に対する明確な回答は避けた。国会の参考人招致にも応じないという。誰がこんな会見内容で納得するというのだろうか。
これほど謎の多い土地取引もない。国有地が八億円も値引かれたからだ。大阪府豊中市にある土地の評価額は当初、九億五千六百万円。それが地中から廃棄物が出たとの森友学園側の申し出を受けて、八億円余りが撤去費用として差し引かれたのである。しかも分割払い。異例ずくめである。
小学校の建築事業費には何と金額が異なる三種類の契約書が存在する。これも疑問だらけだ。高い金額は約二十三億円で国土交通省に、安い金額は約七億円で府に提出されていた。三倍以上の開きがある。府に対しては財務面で問題がないように見せ掛け、国からは多くの補助金を引き出そうとした−。そんな見方が出ている。
実際に国からは五千六百万円の補助金が出たが、これは補助金の不正受給にあたりうる。国交省は既に支払った補助金を返還請求する方向だが、同時に刑事事件の立件可能性も探るべきである。
財務省も旧国有地に建設した校舎を解体し、更地に戻して引き渡すよう学園に要求するという。違約金の支払いも求める。当然の対処である。だが、何よりも国が国有地を評価額の14%で売却した経緯が全く明らかになっていない。
自民党鴻池祥肇(よしただ)参院議員が財務省への仲介を頼まれたと証言している。どのような「力学」が働いたのか否か明白にしないと国民は納得しない。「安倍晋三記念小学校」の触れ込みで寄付金を募り、安倍首相の妻の昭恵氏が名誉校長に就いていた経緯もある。
共同通信社世論調査では、国有地が格安で売却された問題について、86・5%が「適切だと思わない」と回答。籠池氏を国会招致し、説明を求めることに「賛成」との回答が74・6%に上った。
関係者を国会招致すべきである。全容解明がなされないと、いつまでも行政府や首相周辺は国民から疑いの目で見られる。