「想定し難い犯罪」など399の罪 政府、共謀罪の対象から除外 - 東京新聞(2017年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017030902000123.html
http://megalodon.jp/2017-0309-0932-33/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017030902000123.html


自民党法務部会では、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案について、対象犯罪の選定基準が示された。政府は、組織的犯罪集団が「実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪」など八類型を排除したと説明した。 (大杉はるか)
法案は、国際組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備との位置付け。政府は当初、懲役・禁錮四年以上の六百七十六の罪を対象としていたが、数が多いとの指摘を受け、三百九十九の罪を除外した。
法務省資料によると、対象犯罪に含まれなかったのは、故意ではない「過失犯」や「結果的加重犯」、犯行が未遂、予備、準備にとどまる「独立未遂犯」「予備罪」「準備罪」。「加重類型」や、既に共謀罪や陰謀罪の処罰規定がある犯罪も「条約上の義務なし」として外した。
「現実的に想定し難い犯罪」では酒酔い運転などを例示。「犯罪行為の態様、犯罪が成立し得る状況、適用状況等に照らし」て除外したと説明した。これに対し、出席議員は「現実的に想定されたら、対象犯罪として拡大するのかと追及される」と発言。法案成立後に政府が対象犯罪を増やす法改正をする可能性があると疑われかねないと指摘した。
一方、排除されなかった二百七十七の罪は労働基準法文化財保護法といった必要性が明確でない罪や、組織的威力業務妨害や背任など一般市民が対象となる余地が残る罪も含まれている。こうした罪が妥当かの議論は深まらなかった。
法務省担当者は「すべてを絞り込むことは困難だった」と選定基準の明確化には限界があり、曖昧さが残ることを認めた。