森友学園疑獄 8億円値引きの裏でうごめいた“政官界の闇” - 日刊ゲンダイ(2017年3月3日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200594

予想通り、政界工作が行われていた森友学園への国有地払い下げ疑惑。籠池理事長はこれまでメディアの取材に「政治家に頼んだことはない」と答えていたが、それがウソだということが鴻池会見でハッキリした。籠池理事長は幅広い政界人脈を誇っていた。タダ同然の不当な国有地売却で、どんな裏工作が行われていたのか。

■近畿財務局の独断ではあり得ない異常
今度のことは、何から何まで異例ずくめだ。国有地の売却価格が8億円も値引きされたことだけじゃない。財務省が当初、売却価格を隠していたり、売買の交渉記録を既に廃棄したのもおかしな話だ。大阪府が小学校の設置基準を緩和したこと、私学審議会がいったん保留にしたのに、その後わずか1カ月でスピード認可したことも異常である。地方の出先機関である近畿財務局の独断ではあり得ないことだ。
「8億円もの値引きを、ルールを重視する官僚が自分たちの一存でやれるはずがない。しかも、森友学園が国有地を取得する前、別の学校法人が5億8000万円での購入を希望した時、財務省は『安過ぎる』と突っぱねているのに、森友学園には1億3400万円という安値で払い下げている。官僚が応じざるを得ない大きな政治権力からの圧力があったとみて間違いないでしょう。国有地売却では官邸サイドが、小学校の認可では大阪維新の会が関わっているのではないか。両者の連携プレーが疑われます」(立正大教授・金子勝氏=憲法
実際、籠池理事長は学園の催しの際に、「行政に一生懸命後押しいただきながら」と発言。小学校開設が実現したことを自慢げに語っていた。行政がなぜ“後押し”するのか。政治力のなせる業だ。

■完全に崩れた認可取り消し幕引きシナリオ
国有地の払い下げには過去、必ずといっていいほど政治家が暗躍していた。今回も数多くの政治家の名前が水面下で囁かれている。安倍首相だけじゃない。現職閣僚、元文科大臣、自民党役員、自民党女性議員、自治体首長、府議……。当選1、2回の陣笠議員や野党議員の働きかけで、財務省が動くことはないだろう。与党の大物議員の働きかけがあったとみるのが自然だ。
1日の参院予算委での安倍は、いつにも増してヒステリックで異様だった。開設予定の小学校の名誉校長だった昭恵夫人と学園の関係を追及されると、「妻を犯罪者扱いするのか」と声を荒らげたのだ。質問者の共産党・小池議員はそんなこと言っていないのに、安倍は後ろめたい気持ちがあるから、過剰反応するのだろう。
4月の開校を前に今月、大阪府に「不認可」を出させ、“安倍晋三記念小学校”をなきものにして幕引きしようというのが安倍政権のシナリオだったが、完全に崩れた。疑獄は底ナシである。