東松山の少年暴行死事件 市教委が再発防止策:埼玉 - 東京新聞(2017年2月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201702/CK2017022802000189.html
http://megalodon.jp/2017-0228-1024-38/www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201702/CK2017022802000189.html

東松山市都幾川(ときがわ)河川敷で昨年八月、吉見町のアルバイト井上翼さん=当時(16)=が、中学生を含む少年らに暴行を受け死亡した事件で、同市教育委員会の検証委員会は二十七日、再発防止策をまとめた最終報告書を発表した。
小学一年から中学三年までの個人の指導記録を担任教師らが引き継いでいく「児童・生徒指導カルテ」を新設したり、児童・生徒が心配事や悩みを直接、市教委に相談できる電子メール相談窓口「SOS つなぐ」を設置したりする独自の施策を始める。福祉担当部署や警察、地域との連携も強化した再発防止策を市教委は「東松山モデル『つなぐ』」と命名中村幸一教育長は「県内市町村だけでなく、全国にも広がれば」と話した。
事件では、同市の少年二人が傷害致死罪で起訴され、中学生三人が少年院送致となった。
市教委はこれまでの調査で、中学生らの家庭に親子関係や経済的な問題があったことを把握。「中学生らは家庭にも学校にも『居場所』がなかったのではないか」と分析していた。市教委が行ったアンケートでは、保護者の側にも「(子育てで)悩んでいることを相談に行くことに抵抗があり、なかなか一歩を踏み出せない」と、気軽に相談できる体制の要望が多かった。
再発防止策では、新年度に健康福祉部が設置する子育て世代包括支援センターで、乳幼児期から家庭に問題を発見した場合に「支援ファイル」を作り、幼稚園・保育園から小中学校まで継続することにした。支援ファイルは小中学校とも共有できるようにする。
また、親が学校などに相談するきっかけにしやすいように、子どもの様子を記録するチェックシートを作成・配布する。チェックシートは「学校がつまらないと言い始める」「学校での出来事を話さなくなる」「部活や校外活動を休むようになる」などのチェック項目に五つ以上チェックが入り、不安になったら学校に相談するよう呼びかける。
市教委には、退職した元校長を「生徒指導専門職員」として新たに配置する。小中学校を巡回し、現職校長らに助言する。 (中里宏)