ジャーナリストってなんだ。 東海大の学生が冊子作成:首都圏 - 東京新聞(2017年2月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201702/CK2017021502000186.html
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東海大学(神奈川県平塚市)の学生九人が、昨年八月に東京都内で開催された日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の贈賞式を取材し、冊子「JOURNALISTs」としてまとめた。「ジャーナリストってなんだ。」をテーマに、自ら受賞者や作品に接して学び、感想などを書き、編集まで手がけた。その内容は若者たちの素朴な疑問と感性で表現され、真実を明らかにすることの大切さを訴えている。 (布施谷航)
学生たちは文学部広報メディア学科の一年生が中心で、課外活動である東海ジャーナリズムプロジェクト(JPOT)に参加。「報道最前線の人たちに接することで学びの場を提供したい」と、学生を指導する羽生浩一准教授は話す。
二〇一五年に学生七人が沖縄の現地報告をまとめ、一六年はJCJと冊子づくりに取り組んだ。学生は担当するJCJ賞受賞者の作品や難解な用語を事前に調べ、プレスセンターホール(東京都千代田区)での贈賞式を取材して執筆・編集した。完成した冊子はオールカラーのA4判二十ページ。十二月にJCJ賞特集号として会員に配布された。
記事は、受賞スピーチの要約、ポイント、感想の三部構成。その感想は若者らしい率直な言葉が並ぶ。
反核・写真運動で広島、長崎の原爆写真集を出した小松健一さんと新藤健一さんから話を聞いた小島千知(ちさと)さん(19)は「写真が持つ力を実感しました。言語や民族の違いを越え、恐ろしいことが起きたと認識できる」などと記す。
改憲の動きの一つ「緊急事態条項」の問題点を取り上げたテレビ朝日報道ステーション」前プロデューサーの松原文枝さんらから、阿部太一さん(20)は「社会の流れをつかみ、予見する力が必要なのだということを学んだように思います」。
「ジャーナリストって、私たちに近い人だ」−。情報の受け手である学生たちは、そんな印象を抱いた。一方で記事にまとめて「発信する側」に立った時、プロの厳しさも痛感した。
憲法学者木村草太さんの講演を取材した中島こなつさん(19)は「憲法に関わる言葉一つ一つを理解することから大変でした」。毎日放送の番組「なぜペンをとるのか〜沖縄の新聞記者たち」ディレクターの斉加尚代さんを担当した中溝愛さん(19)は、原稿が何度も修正され「心が折れそうになったこともあった」。
小川知夏さん(19)も「取材したことをきちんと載せられたのかな」としながらも、情報を発信する面白さを感じ取ったようだ。
冊子は苦労した「作品」だけに、猪股修平さん(19)と澤村成美さん(19)は「同世代に読んでもらいたい」と、記事が若者に届くことを期待している。
報道機関への就職を志望する三年の杉田颯(はやて)さん(21)は「気持ちが強い人でないと、ジャーナリズムは務まらない」と思いを新たにした。スポーツジャーナリストを目指す高橋夏帆(かほ)さん(20)は、情報の受け手としての意識も変わった。「私たちも普段から問題意識を持たなくてはいけない、と思った」
自身もかつてテレビで報道の仕事に携わっていた羽生准教授は「熱い気持ちを若い人に伝えたいと思っている人に出会えたのはいい経験で、学生たちも成長することができた」と語った。
冊子は百円(送料別)。問い合わせは、JCJ=電03(3291)6475(月・水・金の午後一〜五時)=へ。