いま読む日本国憲法(37)第56条 議決の必要数定める - 東京新聞(2017年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017020602000162.html
http://megalodon.jp/2017-0208-1000-41/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017020602000162.html


衆参両院が本会議を開き、議決を行うのに必要な出席者数「定足(ていそく)数」を一項で、本会議での有効な意思決定に必要な賛成の数「表決数」を二項で、それぞれ定めています。
「総議員」は、欠員も含めた議員定数のことと解釈されており、現在の定足数は衆院百五十九人、参院八十一人。出席者がこれを下回ると本会議を開けません。ちなみに委員会の定足数は、憲法ではなく国会法四九条で「委員の半数以上」と規定されています。
自民党改憲草案は、三分の一以上の出席を要するのは議決だけで、定足数に達しなくても本会議は開けるようにしたことが大きな特徴です。法案の審議には出席しなくてもいいと言っているようなもので、国政の課題について議論を尽くす国会の役割を空洞化させる恐れがあります。
一方、憲法五六条は、表決数は原則として「出席議員の過半数」としています。この例外となる憲法の「特別の定」は、総議員の三分の二以上の賛成を必要とする改憲発議(九六条一項)など五つあります。
五六条では、可否同数となった場合の議長の決裁権も定めています。現憲法下で行使されたのは二回。直近では二〇一一年三月、「子ども手当」を六カ月間延長するつなぎ法案が参院本会議の採決で可否同数となり、当時の西岡武夫議長が「可決」と決めました。


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「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時、掲載しています。


  1. 両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
  2. 両議院の議決は、各々(おのおの)その総議員の三分の一以上の出席がなければすることができない。