米最高裁判事、保守派が多数 銃や中絶問題でリベラル派に逆風 - 東京新聞(2017年2月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201702/CK2017020202000120.html
http://megalodon.jp/2017-0202-1009-12/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201702/CK2017020202000120.html

【ニューヨーク=北島忠輔】トランプ米大統領は一月三十一日、空席だった連邦最高裁判事に保守派のニール・ゴーサッチ連邦高裁判事(49)を指名した。任命されれば最高裁の構成は判事九人中、保守派が五人と多数を占め、銃規制や人工妊娠中絶の是非など、国を二分する問題でリベラル派の主張が受け入れられにくくなる。また、イスラム圏七カ国からの入国禁止など大統領令を巡る司法判断にも大きな影響を及ぼす。
ゴーサッチ氏は一九九一年、オバマ前大統領と同じ時期にハーバード大法科大学院を卒業。連邦最高裁判事の書記官も務め、憲法を厳格に解釈することで知られる。昨年九月には、事業者が従業員の避妊に関する費用も対象とする医療保険を提供すべきかどうかが争われた裁判で「信仰に一致しない薬代などを対象とする医療保険の提供を経営者に強制するのは、信仰の侵害だ」と指摘。産児制限を否定するキリスト教保守派の考えに沿った判断を示した。
トランプ氏は大統領選中から、憲法で定められた銃所持の権利はしっかりと認められるべきだと繰り返し主張してきた。
ゴーサッチ氏の指名には、国を二分する問題でオバマ前政権のリベラル路線から転換を図るとともに、強い批判を浴びる移民・難民政策などで違憲性が問われた場合、最高裁での審議を有利に運ぶ狙いもある。
これに対し、民主党上院トップのシューマー院内総務は「労働者よりも企業側に立ち、女性の権利に反対してきた」とゴーサッチ氏を批判。承認手続きで抵抗する考えを示した。
上院(定数一〇〇)の承認には過半数の同意が必要。現在は共和党が五十二議席を確保しているが、民主党による長時間演説などの議事妨害を打ち切るには六十人の賛成が必要。承認手続きが長期化する可能性もある。