高浜原発クレーン倒壊 安全対策工事を一部中断 - 東京新聞(2017年1月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017012202000104.html
http://megalodon.jp/2017-0122-1103-04/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017012202000104.html


関西電力高浜原発2号機(福井県高浜町)でクレーンが倒れた事故を受け、関電は二十一日、四十年を超える運転の延長に向けた安全対策工事のうち、一部作業を中断すると明らかにした。関電は二〇二〇年の工事完了を目指しているが、今後のスケジュールに影響が出る可能性もある。
関電は倒れたクレーンを近く撤去する方針。事故の原因や強風時の対応が適切だったかを調査し、安全性が確認できるまでは近くにあった他の三台も含め、クレーンでの作業を中止する。現時点で作業再開のめどは立っていないという。
原子力規制委員会事務局は事故後、現地に保安検査官を派遣。燃料取り扱い建屋内部の壁面パネルの一部に隙間を確認した。建屋内は気圧を外部より低く保つことで放射性物質が漏れないよう設計されているが、現時点で圧力維持に問題はないという。
高浜2号機を巡っては、原子力規制委が昨年六月、1号機と共に運転延長を認可。関電はクレーンを用いて原子炉格納容器の上部をコンクリートで覆う工事の準備作業を進めていた。規制委の審査の中でも重要な課題の一つだった。事故時は夜間のためクレーンを使用していなかったが、原子炉格納容器に倒れかかるといった重大な事故につながる危険性もあった。記者会見した高島昌和高浜発電所運営統括長は「二度と同じことが起きないように対応したい」と述べた。
写真;高浜原発2号機の燃料取り扱い建屋(手前)と原子炉補助建屋(その左)の上に倒れた大型クレーン=21日、福井県高浜町で、本社ヘリ「おおづる」から
<高浜原発2号機> 関西電力福井県高浜町に設置した4基の原発の一つ。加圧水型軽水炉(PWR)。出力は82.6万キロワットで、1975年に営業運転を開始した。原発の運転期間は原則40年と定められているが、関電は74年に運転開始した1号機と共に運転延長を原子力規制委員会に申請し、昨年6月に認可された。避難計画の策定が必要な半径30キロ圏には京都府滋賀県が含まれる。85年に運転開始の3、4号機は、大津地裁が運転差し止めの仮処分決定を出し、再稼働できない状況が続いている。