原発避難いじめ 「学校対応 検証されず」:神奈川 - 東京新聞(2017年1月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201701/CK2017012102000150.html
http://megalodon.jp/2017-0121-1055-33/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201701/CK2017012102000150.html

東京電力福島第一原発事故福島県から横浜市に避難した中学一年の男子生徒(13)へのいじめ問題で、市教育委員会は二十日、市議会常任委員会で、内部組織「再発防止検討委員会」の議論の中間報告をした。市教委は、いじめ対応は学校と市教委が連携して組織的に対応するなどの案を説明。だが、当時学校がいじめに対応しなかった理由など、肝心な部分の検証がされておらず、委員からは批判が相次いだ。
検討委は昨年十二月に設置し、当時の対応の問題点と解決策を議論する。これまで四回の会合(非公開)を開いており、年度内に報告書をまとめる。
常任委では「担任一人で抱え込まず、学校内で組織的に情報共有と判断をする」、「カウンセラーら専門職を積極活用する」、「重大事態の疑いや保護者との信頼が崩れた場合は、学校任せにせず教育委員会で対応する」といった再発防止策の方向性が報告された。
しかし、そもそも担任や学校管理職がいじめを見過ごし、生徒や保護者の信頼を失った理由や経緯は盛り込まれていなかった。委員からは「なぜ長期間対応を放置したのか」「学校の対応で、何が間違っていなかったのか検証できていない」などの指摘が相次いだ。
市教委は「担任がいじめと認識しなかったのは課題」(伊東裕子担当部長)、「(判断根拠を記した)当時の記録がなく、関係者に聞き取りを始めている」(小林力(つとむ)教育次長)と答えるにとどめた。当時の担任ら、学校関係者への聴取はこれからするという。
会議後、常任委のある委員は「この状態では、市教委が何のために内部検証しているのか分からない」と批判した。(志村彰太)