書類送検の電通 滋賀県が入札参加停止へ - NHKニュース(2017年1月18日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170118/k10010843821000.html
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社員に違法な長時間労働をさせた疑いで書類送検された大手広告会社、電通について、滋賀県は県の基準に基づき、入札への参加を一定期間停止する方針を固めました。電通をめぐっては、このほか和歌山県奈良県も入札への参加を停止するかどうか検討を進めているということです。
電通は、過労のため自殺した、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)など社員に違法な長時間労働をさせたとして、先月、労働基準法違反の疑いで書類送検されました。
滋賀県は、禁錮刑以上の刑に当たる容疑で書類送検された業者については、県が発注する事業の入札への参加を3か月間、停止すると定めていて、今回の書類送検はこの基準に当てはまるとして、入札への電通の参加を停止する方針を固めました。
県によりますと、電通は、東京オリンピックパラリンピックに向け参加国の選手と交流する「ホストタウン」の誘致に関する事業や、観光や近江牛などの特産品のPR事業を県から受注しているということです。
滋賀県会計管理局の東登志也次長は「書類送検の内容を県の基準と照らし合わせ厳正に審査する」としていて、今月中にも審査会を開き正式に参加停止を決めることにしています。
電通をめぐっては、国が全額出資する特殊法人のJRA=日本中央競馬会が今月28日までの1か月間、指名停止の処分にしたほか、滋賀県と同じような基準がある和歌山県奈良県も、入札への参加を停止するかどうか検討を進めているということです。
電通滋賀県の対応について「個別の取り引きに関するコメントは差し控えさせていただきます」としています。
電通 滋賀県からの受注状況は
電通滋賀県からさまざまな事業を受注しています。
昨年度は、滋賀ゆかりの武将、石田三成を題材にした動画の制作や、関連イベントをおよそ3700万円で受注しました。動画はインターネット上で話題になり、去年9月、国内最大級の広告のコンクール「ACCCMフェスティバル」で、グランプリに次ぐゴールド賞に選ばれました。
今年度は、首都圏で県の食材や酒、工芸品を扱う店のほか、県ゆかりの人について調査する事業をおよそ3500万円で受注しています。
また、インターネットや雑誌などの媒体を通じた観光やイベントなどの県外への広報事業をおよそ2400万円で、県の特産品である近江牛の魅力を県外に発信する事業をおよそ1700万円で、さらに2020年の東京オリンピックパラリンピックに向け参加国の選手と交流するホストタウンの誘致に関する事業をおよそ800万円で、それぞれ受注しているということです。
滋賀県の入札参加停止基準
滋賀県は、物品などの入札への参加資格を持つ業者に不正があった場合、一定期間、入札に参加できなくする基準を定めています。
基準では、業者、または業者の役員が、禁錮以上の刑に当たる犯罪の疑いで逮捕、書類送検、もしくは起訴された時や、禁錮以上の刑や刑法の規定による罰金を命じられた時は、決定の日から3か月間、入札の参加資格を停止するなどとしています。
こうした措置は、滋賀県が会計管理局長をトップとする内部の審査会を開いて決定することになっています。
和歌山県奈良県も停止検討
NHKが全国の都道府県と政令指定都市に取材したところ、和歌山県奈良県も入札への電通の参加を停止するかどうか検討を進めていることがわかりました。
このうち和歌山県は、重大な法令違反で書類送検された業者について、県が発注する事業や物品の入札への参加を3か月間停止させると定めていて、この基準に基づいて、入札への電通の参加を停止するかどうか検討を進めているということです。県によりますと、電通は、おととし和歌山県で開かれた国体の大会運営などの業務を受注した実績があるということです。県は、「労働基準法違反で入札への参加を停止した事例は和歌山県では聞いたことがないので、慎重に検討したい」としています。
また奈良県は、労働に関する法令に違反して書類送検された業者について、県発注の事業や物品の入札への参加を2か月から3か月間、停止する場合があると規定していて、電通の参加を停止するかどうか検討を進めているということです。
一方、多くの自治体では、書類送検の段階ではなく、起訴された場合や監督官庁などから行政処分を受けた場合に、その企業の入札への参加を停止する基準を設けていて、今後の展開を見ながら対応を決めたいとする自治体もありました。