医師の寄付から民間基金 福島・自主避難者の転居費支援 - 東京新聞(2017年1月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011602000116.html
http://megalodon.jp/2017-0116-1636-55/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011602000116.html

東京電力福島第一原発事故で、避難区域外に住んでいて自主避難を余儀なくされた人たちへの住宅の無償提供打ち切りが三月末に迫る中、転居費を支援する民間基金が設立された。十五日には東京都内で、対象者を決める抽選会があり、申し込んだ十世帯すべてが当選した。基金の原資は東京都八王子市で診療所を営む小児科医山田真(まこと)さん(75)=同西東京市=が寄付した。 (中山高志)
基金を設立したのは、原発避難者らでつくるNPO法人「ココロとカラダを育てるハッピープロジェクト」(本部東京都)。法人の理事を務める山田さんは原発事故以降、福島県内や全国各地の避難先で無料の健康相談を続けてきた。十五日も抽選会の様子を見守り、「皆さんが本当にぎりぎりのところで生活している現状があらためて分かった。これからも本腰を入れて応援する態勢をつくっていきたい」と話した。
今回は都内と神奈川、埼玉各県に自主避難しているシングルマザーが対象で、一世帯二十万〜三十万円を助成する。この日は申し込んだ十世帯の母子らが出席し、くじ入りの袋を順に引いて一斉に開封。全員「当選」に、涙を浮かべるなどして喜び合った。
助成には入居する住宅の種類で金額が異なる二つの枠があり、今回は一方で希望者が対象数を超えたが、資金に余裕があることなどから全員を当選とした。
自主避難者の多くは、福島県が各地で公営住宅などを借り上げて無償提供する「みなし仮設住宅」に入居しているが、大半は打ち切りまでに退去を求められる。福島県郡山市から東京都府中市に小学生の子と避難中の女性(41)は近隣市の都営住宅に転居を予定。転居費の負担は重く「お金のことで頭が痛かったので本当にうれしい。先生には感謝しかない」と話した。
法人は今後も支援を継続するため、基金への寄付を呼び掛けている。問い合わせは法人のメールアドレス=info@kokokara-hp.org=へ。