<児童虐待>家裁が早期関与…都道府県に保護者の指導勧告へ - 毎日新聞(2017年1月14日)

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◇政府方針
政府は、児童虐待対策として、家庭裁判所が早期に関与できる制度創設の方針を固めた。現在は、親子を強制的に引き離す際に関与しているが、その前段階で、都道府県に対し、児童相談所(児相)を通じて保護者を指導するよう勧告できるようにする。早期の関与によって、家庭で生活しながら親子関係が改善するように促す。
20日開会の通常国会児童福祉法などの改正法案提出を目指す。
新制度は、子どもと同居している保護者が児相による再発防止のための指導に従わない場合などを想定する。児相による申し立てを受け、家裁は都道府県に対し、児相が保護者を指導するよう勧告する。
現在も都道府県知事が保護者に対して児相の指導に従うよう勧告する制度があるが、権限を児相に委譲している自治体もある。家庭に介入する児相に対して、保護者は不信感を抱きやすいため、指導の実効性に乏しいケースが多かった。中立的な家裁の関与という「お墨付き」で、保護者に指導を受け入れやすくする。
現状の司法は、子どもを保護者から引き離したり、親権を停止したりする際に関与している。昨年成立した改正児童福祉法は「家庭での養育」のために保護者を支援することを国や自治体の責務として明記。新制度は、これを推進する狙いがある。
家裁の勧告があっても保護者が従わなければ、子どもをより良い養育環境に移すことが求められる。しかし、親子を強制的に引き離す必要性を見極める判断は難しく、結果として最悪の事態を招くケースもある。家裁の勧告があっても保護者が指導に従わなければ、児相が施設入所や里親委託などに踏み切る判断材料となる。
政府は当初、家裁が直接保護者に指導を受けるよう「命令」することを想定していたが、「司法の家庭への介入」に対する慎重論は根強く、都道府県を通じた勧告に落ち着いた経緯があり、厚労省内にはより実効性を高める対応を求める声もある。【黒田阿紗子、阿部亮介】