(政界地獄耳)ロシア革命100年…世界は進歩したか? - 日刊スポーツ(2017年1月3日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1760173.html
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★17年が明けた。今年は米国でトランプ新大統領が就任するが世界は彼に翻弄(ほんろう)されるだろう。欧州では選挙が続く。欧州での右派台頭は内向きな保守主義を内在し不安定な社会を作る。「自分だけがよければ」と、他を押しのける価値観と新自由主義が結びつく化学反応が読み切れない。民族、宗教、言語の違いを乗り越える模索が続いてきたが、それが崩れる日が来るのだろうか。
★今年はロシア革命から100年を迎える。近代ロシア社会と帝国主義的世界のぶつかり合いの矛盾から生じた革命。首都ペテルブルク(現サンクトペテルブルク)で「パンと平和」を求めて皇帝に請願する労働者・市民に対し軍隊が発砲した「血の日曜日」事件から皇帝専制政治ロマノフ王朝が倒れレーニンソビエト社会主義共和国連邦を樹立するまでの連続的な革命だが、世界は、あるいは社会はこの100年でどれほど変わったのか。見方を変えれば革命前夜とはいわないが、世界は、社会は100年前の衝突から進歩しているのだろうか。
★今年は日本国憲法施行70年の節目の年になる。憲法は国民の中に定着している。ただ、国会内では国民の規範となるべき順法精神どころか集団的自衛権の解釈を変えるなど、憲法が軽んじられる中、改正へ向けた議論が続いている。護憲・改憲の議論は国民を巻き込み大いに論じるべきだが、順法精神自体を無視するような言動や態度は慎むべきだ。現行法体系を破壊して、憲法に不具合が多いかの印象を与えるのもいかがなものか。憲法議論は常に王道を歩むべきであり、改正に近道などないはずだ。
★今年、世界中もわが国もさまざまな試練にさらされるだろう。それは乗り越える英知を示す時でもある。いい年にしたいものである。(K)※敬称略