東京電力 再編、国が「仲介」 円卓会議、大手電力に要請 - 毎日新聞(2017年1月3日)

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経済産業省が、大手電力会社の経営トップを集め、東京電力との事業再編や海外進出策を協議する「円卓会議」の開催を検討していることが分かった。国内外の市場の現状や経営改革について各社が意見交換する場を設けることで電力事業の再編・統合の呼び水にしたい考えで、事実上、政府が再編の仲介役に乗り出すことになる。【宮川裕章、岡大介
東電の経営再建や福島第1原発事故への対応策について昨年12月20日に提言をまとめた同省の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)で、政府が再編の「触媒」の役割をすべきだとの意見が出たことに対応。東電は提言を受け、今月以降新しい経営再建策を策定する予定で、円卓会議はその前後に設置される見通しだ。
東電委の提言には、従来想定の11兆円から21.5兆円に膨らむ福島第1原発事故の処理費用をまかなう経営効率化策として、東電の送配電や原発の事業で、他電力と「共同事業体」を早期に設立し、再編・統合を進める案が盛り込まれた。火力発電事業を中部電力との共同出資会社「JERA(ジェラ)」に移す予定であることも参考にしている。
提言を受けて経産省は東電の提携先を公募する案などを検討している。しかし、大手電力には「自社の利益を原発事故処理に回される」(幹部)との懸念があり、慎重だ。その打開策として円卓会議の構想が持ち上がった。東電の「全国での再編を目指す以上、個別の社で協議するより一堂に会する機会を設けたい」(幹部)との意向にも合う。
電力業界は、省エネルギー少子化で国内電力需要が停滞する一方、海外で需要増加傾向が続く環境変化に直面している。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、日本国内の電力消費量は2014年の0.95兆キロワット時が30年には0.98兆キロワット時と微増なのに対し、世界全体は同期間に19.8兆キロワット時から27.9兆キロワット時に伸びる。
経産省内には、円卓会議の議論を通じ、再編で強化された事業による海外展開の機運を高めたい意向がある。だが業界に不本意な「官製再編」の批判が出る可能性もあるため、「民間同士の接点を最初に設定し、後は任せるのが基本」(幹部)として慎重に構想を具体化させる方針だ。
【ことば】東電委員会の提言
経済産業省が設置した有識者会議「東電委員会」は2016年12月20日、福島第1原発事故処理と東電再建についての提言を公表した。事故処理費用は従来想定から倍増の21.5兆円に膨らみ、東電が捻出する資金は16兆円と試算。廃炉や賠償は「福島事業」とし、東電が国と共同で行うと位置づけた。東電の経営効率化に向けて送配電、原発事業の再編・統合を求め、需要が見込める海外への展開も促した。柏崎刈羽原発の再稼働を前提に収益力を改善することも盛り込んだ。