いま読む日本国憲法(34)第52条 国会、会期定め熟議 - 東京新聞(2016年12月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016122602000154.html
http://archive.is/2016.12.26-003224/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016122602000154.html


この条文にある「常会」とは通常国会のこと。一年に一回召集すると定めています。この条文や、臨時国会について定めた五三条、特別国会を定めた五四条一項から、日本の国会は一定期間に限って活動できる「会期制」を採用しているとされます。
通常国会が毎年一月に召集されることや、会期は百五十日間で一回だけ延長できることは、国会法で定められています。安全保障関連法が最大の焦点となった二〇一五年の第百八十九回通常国会は、九十五日間延長され、会期は常会として現憲法下で最長となる二百四十五日間に及びました。
東日本大震災が起きた一一年は臨時国会と合わせて通算二百八十九日間、国会が開かれ、通常国会が一月召集になった一九九二年以降で最長となりました。
これほど長期になるなら、あえて会期を区切らず「通年国会」を導入すべきだという意見も、憲法論議の中で出ています。
自民党改憲草案は、五二条二項を新設し「通常国会の会期は、法律で定める」としています。草案Q&Aは、会期延長についても法律に委ねると説明。法律で決めさえすれば、事実上の通年国会が実現できることになります。
しかし、会期制は必要という意見もあります。会期中に成立しない法案には何か問題があるのだから、会期で区切って議論を仕切り直した方が質の高い法整備につながる、という考え方です。野党にとっては、会期制は成立を阻止したい法案を「時間切れ」に追い込む武器という側面もあります。

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「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文についての解説を随時掲載しています。

自民党改憲草案の関連表記
(1)通常国会は、毎年一回召集される。
(2)通常国会の会期は、法律で定める。