安倍政権が「強い国家」を目指すほど、国家は結局弱くなる単純な理由(内山 節さん) - 現代ビジネス(2016年12月25日)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50570

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50570?page=3

なぜ憲法九条を改正したいのか。それは国家の姿を明確化したいからであろう。
なぜ国家への忠誠心を高めようとするのか。国家あっての国民であることをはっきりさせたいのであろう。
そしてそれらの先に描かれていくのは、国家としての日本の根拠の明確化である。それを成し遂げなければ戦後レジュームからの脱却はできないと考えているのだろうが、この道は国家の弱体化でしかない。
なぜなら、くり返すが、そもそも国家は根拠があって生まれたものではないのである。ゆえに無根拠性という強さを最大限に活かすことしか、持続的な国家はつくれない。
このような視点からみれば、今日の世界は、国家の黄昏に向かっているようにみえる。
強い政治、根拠のある国家を求める動きが広がり、扇動政治家たちがそれをあおり立てている。その姿のなかに、私はむしろ、黄昏れる国家をみている。