真珠湾訪問、過去に3首相 ハワイ報知社が報道 - 静岡新聞アットエス(2016年12月23日)

http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/313323.html
http://megalodon.jp/2016-1224-1052-11/www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/313323.html


今月26、27日(現地時間)に予定される安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾訪問を巡り、静岡新聞社の関連会社のハワイ報知社が、現地22日付ハワイ報知で、実際は鳩山一郎首相と岸信介首相も真珠湾を訪問していることが60年前の記事から分かったと報じた。吉田茂首相も1951年に真珠湾に面した米太平洋艦隊司令部を訪れていたことを、政府が16日に記者会見で明らかにした。当初、今回が現職首相として初の真珠湾訪問とされていたが、既に3人の首相が真珠湾を訪問していたことになる。
ハワイ報知によると、鳩山首相は56年10月、モスクワでの日ソ交渉を終えた帰途、同29日に真珠湾を訪問した。翌30日付「布哇(ハワイ)報知」は、「鳩山首相きのう真珠湾を訪問」の見出しで記事と写真を掲載しているという。
岸首相は57年6月、アイゼンハワー大統領との会談で訪米した際、同28日に真珠湾を訪れた。翌29日付「ハワイ報知」英語版のほか、他紙もその様子を伝えているという。
22日付ハワイ報知には「鳩山、岸両首相とも『礼砲の歓迎』と『儀仗兵の閲兵』が行われており公式の訪問と見られる」との見解も掲載。真珠湾攻撃から75年の節目の慰霊訪問が、記憶に埋もれたかつての真珠湾訪問にも脚光を当てている。

■識者、安倍氏と違い指摘「外遊の主目的でない」
鳩山一郎氏と岸信介氏が現職首相当時に真珠湾を訪れていたと静岡新聞社の関連会社のハワイ報知社が報じたことについて、静岡県内識者は22日、既に訪問歴が明るみに出ている吉田茂氏と鳩山、岸両氏は他の外交日程の後に立ち寄ったと指摘し、「真珠湾を訪ねること自体を外遊の主目的にした安倍晋三首相とは異なる」との見方を示した。



http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/313323.html?page=2
http://megalodon.jp/2016-1224-1051-39/www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/313323.html?page=2
政府は当初、12月下旬に予定される安倍首相のハワイ訪問について「現職首相が真珠湾を訪れるのは初めて」と説明していた。複数のメディアも「現職首相の訪問は初」と報じていたが、菅義偉官房長官が16日の記者会見で、1951年に当時の吉田首相がハワイに立ち寄った際、真珠湾に面した米太平洋艦隊司令部を訪れていたと述べ、修正を図った。さらにハワイ報知の報道で、56年に鳩山首相、57年に岸首相がそれぞれ真珠湾に立ち寄っていたことが分かった。
■報じられていない新事実 鈴木宏静岡大准教授
鳩山一郎首相と、安倍晋三首相の祖父・岸信介首相が在職中に真珠湾を訪れていたのは日本では報じられていなかった新事実である可能性が高い。ハワイ報知によると、鳩山は1956年10月、モスクワでの日ソ共同宣言調印の後、欧州・米国経由で帰国する途中、ホノルルに寄港し、真珠湾を訪問した。岸は57年6月に訪米し、当時のアイゼンハワー大統領と会談した帰路に訪問した。
今回安倍首相の真珠湾訪問について、政府もメディアも当初「現職としては初」を疑わなかった。
だが、過去の首相の訪問が忘れられ、安倍首相の訪問が注目を集めたのはどうしてか。考えられる理由として、真珠湾を訪問した歴代の首相たちはそれ自体を目的として外遊したわけではなかったことが挙げられる。
戦後現職の首相として最初に訪問した吉田茂首相は51年9月、サンフランシスコ講和会議への出席の帰路、真珠湾を訪れた。吉田は日本の独立、鳩山は日ソ国交回復、岸は安保改定への布石という外交成果を上げて、その帰路に立ち寄った。それぞれ思うところがあり、訪れたのだろう。
これに対し今回の安倍首相の場合、真珠湾訪問自体が目的となっている。日米同盟の強固さを国内外にアピールする狙いがあるのだろうが、訪問が象徴的なものに終わらず、具体的な成果となることを期待したい。