(筆洗)経産省と経団連が旗を振る、「プレミアムフライデー」 - 東京新聞(2016年12月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016121902000121.html
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どなたが名付けたか知らないが、日曜日の夕方になると明日からの学校や仕事を思い、物憂げな気持ちになる「サザエさん症候群」というのは、なるほど当を得ている。「定着」して二十年ほどになるか。
十年ほど前、同僚、この「症候群」の一種に悩まされた。「サザエさん」どころか、関東エリアでは土曜日午前に放送される「ぶらり途中下車の旅」なる番組があり、そのテーマ曲を聞くともう月曜日を想像し、落ち込むのだという。幸せなのは、仕事を終えた金曜日の夜からその番組までの数時間。深刻である。
月曜日に向けた「憂鬱(ゆううつ)」は少しは和らぐか。経産省経団連が旗を振る、「プレミアムフライデー」である。
企業が従業員に月末の金曜日に限って、午後三時に仕事を終えるように呼びかけ、買い物や食事に行ってもらおうという試み。消費喚起に加えて、働き方改革につなげる考えと聞く。
「プレミアム」。この場合は「特別な」とか「上質な」という意味だろうが、求められているのは長時間労働や働き方の根本からの見直しである。月曜日が憂鬱にならぬ人間らしい「普通」の毎日である。下手をすれば金曜日の早じまいのために他の日にしわ寄せがいくような仕組みでは、社員には負担であろう。
第一、その金曜日を消費行動にあてるだろうか。導入されたら? こう答える人が大半ではないか。「寝る!」