少年法適用年齢引き下げに反対する声明 - 一般社団法人日本児童青年精神医学会(2016年9月4日)

http://child-adolesc.jp/proposal/20160904/

少年法適用年齢引き下げに反対する声明
―適用年齢はむしろ引き上げられるべきである―
まとめ
少年法の適用年齢引き下げが、児童虐待をはじめとする不適切な養育環境で育てられた子どもと若者や、知的能力障害・自閉スペクトラム症などの発達障害を有する人々に及ぼす影響を考察した結果、以下の理由から日本児童青年精神医学会は適用年齢引き下げに対して反対意見を表明する。

(1)比較的軽微な非行を引き起こした年長少年に少年法が適用されなくなれば、虐待・不適切養育や障害・疾患が等閑視されたまま単なる形式的処遇が与えられるだけの結果に陥り、更生にはつながらない。また、いわゆる重大事件を引き起こした年長少年に少年法が適用されなくなれば、必要な治療から遠ざけられ、再非行のリスクは軽減されないままとなる。

(2)年長少年に対し少年法と刑法の選択適用を行うのであれば、少年法適用年齢は引き上げの方向で検討されるべきである。また、現行の原則検送が少年の更生にとって有効かつ適正に機能しているか否かの検証を、欠かすことはできない。