虐待児童の一時保護 2カ月超の適否、家裁が審査- 東京新聞(2016年12月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121302000258.html
http://megalodon.jp/2016-1213-2208-47/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121302000258.html


厚生労働省は、虐待を受けた子どもを児童相談所の判断で親から引き離す「一時保護」について、期間が二カ月を超える場合、継続の適否を家庭裁判所が審査する仕組みを新たに検討する方針を固めた。児童虐待への司法関与の在り方を話し合う有識者会議は十二日、これらの内容を大筋で了承。厚労省法務省など関係省庁の理解が得られれば、来年の通常国会児童福祉法の改正を目指す。
一時保護は児相の所長らが判断権限を持っており、子どもの安全を確保した上で、保護者の指導などを行う。児童福祉法は原則二カ月を超えてはならないと規定しているが、厚労省の今年四〜七月のデータを基にした推計によると、二カ月を超えたケースは年三千六百件程度に上る。二〇一四年度に虐待を理由とした児童の一時保護は約一万六千件。
厚労省は、保護者の同意なく一時保護が二カ月を超える場合を家裁審査の対象と想定。ただ、検討会では家裁関係者から制度の実現性を疑問視する声も出ており、今後の具体的な制度設計が注目される。
有識者会議の報告書案は、将来的には一時保護が二カ月未満のケースも家裁審査の対象とすることを目指すべきとの意見を紹介。一方で、緊急に子どもの保護が必要な事例に影響が出る恐れがあるとの考えも併記し、児相や家裁の態勢整備が必要だとも指摘した。
また会議では、虐待をした保護者に対し、家裁が養育環境の改善計画を定め、計画に従うよう命じる制度の導入も議論したが、一部の委員から家裁の権限が強過ぎることに懸念が示された。報告書の最終的な内容について、さらに調整する。