(児童書と被爆)少年が見た広島、あえて精巧に描いた - 朝日新聞(2016年12月6日)

http://www.asahi.com/articles/ASJD553B9JD5PITB015.html
http://megalodon.jp/2016-1207-0931-06/www.asahi.com/articles/ASJD553B9JD5PITB015.html

71年前に落とされた原子爆弾の被害や被爆体験は、児童文学の世界でも伝えられてきました。広島で被爆した作家らがどのような思いで作品を生み、今日に至るのか。2016年4月から5月にかけて広島版に掲載した記事を紹介します。(年齢は掲載時のものです)

那須正幹さん「絵で読む広島の原爆」
ズッコケ三人組」シリーズなどで知られる那須正幹(まさもと)さん(73)=山口県防府市。1995年に出版された絵本「絵で読む広島の原爆」が原爆関連の代表作の一つだ。
絵は、科学の絵本でコンビを組んでいた西村繁男さんが担当した。構想から6年。100人近い被爆者の証言を基に8月6日前後の広島を、きわめて精巧に再現した。広島の惨状を、制服を着た「少年」が空中から見下ろすという設定で、徹底的にリアリティーを求めている。
核兵器の原理や原爆投下に至るまでの歴史的背景、終戦後の核をめぐる世界情勢を年表形式で紹介し、一冊読めば原爆がわかる内容に仕上がった。
「ど素人なのに医学の本から何から調べた。よう書いたなあと思う。米国の公文書にも目を通して、原爆投下による戦争の早期終結は口実だったとも書いた」