東京五輪バレーボール会場 有明アリーナ“先送り”の裏事情 - 日刊ゲンダイ(2016年12月1日)

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/194812
http://megalodon.jp/2016-1201-1609-58/news.livedoor.com/article/detail/12356447/

「クリスマスまでに最終結論を出したい」
小池百合子都知事(64)が先送りを宣言した。
29日、東京五輪の開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会、東京都、大会組織委員会、政府の4者トップ会談で、見直しが検討されていた3競技の会場のうち、バレーボール会場の有明アリーナのみが棚上げされた。「(有明アリーナの)404億円は類似の建物に比べて高い。建築の関係から見直す」というのが小池知事の説明だったが、その舞台裏を明かしたのが情報番組に出演した日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザーの川淵三郎氏(79)である。日本の国体球技リーグをまとめる日本トップリーグ連携機構の会長でもある川淵氏は先日、既存の横浜アリーナを代替会場とする小池案を不服として直談判に及んだばかり。
有明アリーナはスポーツ界にとって絶対に必要。ランニングコスト(維持費)で赤字が出ると反発が出ますが、音楽業界と一緒にやった場合、絶対黒字になる。『(一般社団法人)コンサートプロモーターズ(協会)』の中西(健夫)会長が言うには『有明アリーナができないと、日本のイベントが海外に出ないといけない』と。小池知事が『クリスマスまで延ばす』と言った意味は、中西さんが相当お金を集めていてそれを予算として出して、東京都が(予算として)認めるかどうか待って、ということ」
中西会長はイベント企画運営会社「ディスクガレージ」の社長でもある。川淵氏によると、この中西会長が「200億〜300億円は集めている」そうで、小池知事もそれを認識していると断言した。
つまり、404億円と試算される有明アリーナの建設費の大半を“部外者”であるエンタメ業界が用意。だから予定通りに造れと言い、小池知事も最終的には建設にゴーサインを出すというわけである。
コンサートプロモーターズに問い合わせると、「今日4者協議が行われたばかりで、中西がどういう動きをしているかについて、部外者が何かを言える立場にありません」とのことだった。
■東京都の「箱不足」は深刻
川淵氏は今月、日刊ゲンダイのインタビューで「横浜アリーナは昨年、スポーツイベントとして使われたのはたった1日。残り317日はすべてライブエンターテインメント。しかも、スポーツイベントといっても中身はマーチングバンドフェスティバルだった。音楽イベントでスケジュールはいっぱい。中西会長からは『川淵さん、横浜アリーナを五輪に使われたら、ライブをやるところがなくなる。ぜひ有明アリーナを建ててほしい』と言われたよ」とも明かしている。
イベント会場としての東京都の「箱不足」は深刻で、「2016年問題」といわれる。首都圏7施設の改修が今年に集中したことで、集客の悪い平日にライブやイベントをやらざるを得ない状況になっているのが現状だ。中でも、日比谷公会堂中野サンプラザは五輪までに改修が終わる見込みがない。
「イベント業界の間では『そんなに維持費がかかるというなら、民間で有明アリーナを買い取ってもいい』という話まで出ているそうです」(音楽業界関係者)
こうなると、アスリートファーストのかけ声もどこへやら。五輪後、有明アリーナはスポーツの聖地ではなく、単なるライブ施設になる可能性が高い。小池知事がこだわる「レガシー」は、スポーツではなくエンタメ業界に譲ることになりそうだ。