陛下 「変わらぬ形を」 おことば公表前、学友に打ち明け - 毎日新聞(2016年12月1日)

http://mainichi.jp/articles/20161201/k00/00m/040/101000c
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天皇陛下が退位の意向がにじむおことばを公表する直前の7月21日、恒久的な制度による退位を望む考えを学友に打ち明けられていたことが分かった。摂政に否定的な考えも明言したという。学友は麻生太郎副総理兼財務相の紹介で、官邸で退位問題を担当する杉田和博官房副長官に会い、陛下の気持ちを伝えた。
学友は学習院の高等科まで陛下と同級生だった明石元紹氏(82)。明石氏によると、7月13日に陛下の退位の意向が報じられた約1週間後の7月21日午後10時過ぎ、陛下の身の回りの世話をする宮内庁職員から自宅に「陛下がお話ししたいとおっしゃっている」と電話があり、陛下が電話に出られた。
陛下は退位について「ずいぶん前から考えていた」としたうえで、「日本の歴史は長いが、途中で(天皇が)代わった例はいくらもある。生きているうちに譲位をしてもびっくりすることでもない」と話したという。制度のあり方について、陛下は「国のための制度がある以上、合理的でいつも変わらない形にならないと意味がない」と恒久制度を望む気持ちを打ち明けたという。
また摂政については、昭和天皇が皇太子時代に務めた例を挙げ、「天皇と摂政をそれぞれ支持するグループができて日本が政治的に二つに分かれるみたいなこともあったらしい」と指摘し、「よくないんじゃないか」と話したという。
明石氏は杉田氏と約1時間面会。明石氏が「法律の問題があるかもしれないが早く実現してほしい」と要望したのに対し、杉田氏は「一代限りの退位ならまとめることはできるが、恒久法という形は難しい」との考えを示したという。
陛下は8月のおことばで、摂政に否定的な考えを示し、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と述べている。【田辺佑介】