「仮放免の外国人に医療を」 茨城でNPOが相談会 - 朝日新聞(2016年11月22日)

http://www.asahi.com/articles/ASJCQ0H6TJCPUBQU015.html
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不法滞在で入国管理局(入管)に収容中、体調不良などを理由に一時的に身柄を解かれた「仮放免」の人らを対象とする無料の医療相談会が20日、茨城県取手市内であった。医師らでつくるNPO法人「北関東医療相談会」(本部・群馬県太田市)が、県内で初めて開いた。体調に不安を抱える13カ国28人が診察を受けた。
「良い病院を紹介するから心配するな」。診療所で医師が語りかけると、ブラジル国籍の男性(31)は涙をこぼした。男性は出稼ぎに来た日系ブラジル人の母親を追い、13歳の頃に来日。19歳で強盗事件に関与して逮捕され、実刑判決を受けた。服役後に国外退去処分になったが、体調不良を理由に3年前から仮放免となっている。
在留資格がないため、健康保険証を持てず、仕事はできない。定期的に胃の痛みに襲われるが、医療費を払えないため、病院へは行かない。男性は「将来に不安を感じると体調が悪くなる。体を見てもらえてありがたい」と話す。
入管は、不法滞在で強制退去の必要がある外国人を収容し、60日以内に処分を決めるとしている。その間や強制退去になった後でも、難民申請の手続きや訴訟、病気の治療などを理由に仮放免を申請できる。保証金の納付や行動範囲の制限などが条件で、定期的に更新手続きが必要となる。ただ、何十年も仮放免状態の人もいるという。
入管によると、退去を求められた後に仮放免になっている外国人は、昨年末現在で3606人。在日外国人の増加に伴い、2010年比で2・2倍に増えた。
NPOは前身団体が1997年に設立され、経費を寄付で集め、関東で医療相談会を開催。今回が41回目で診断結果についての説明会も開く。必要に応じ、通院に付き添ったり、貧しい人の医療費の自己負担を減免する「無料低額診療」をする病院を紹介したりする。同NPOの長沢正隆事務局長は「仮放免の人は『制度のすき間』にいて、国が放置している。支援しないと多くの人が命を落とす」と語る。
寄付口座は同会ホームページ(http://npo-amigos.org/別ウインドウで開きます)にある。問い合わせは同NPO(080・5544・7577)。