平和の俳句 連帯の「旗」 夏井いつきさん、ミニ句集を発行 - 東京新聞(2016年11月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111902000144.html
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「平和を希求する小さな旗を一本、ここに掲げる」。テレビのバラエティー番組「プレバト!!」でもおなじみの俳人・夏井(なつい)いつきさん(59)が、こんな巻頭言を載せたミニ句集『旗』を出した。夏井さんは七月、東京都内で開かれた「平和の俳句」のライブ選考会で、金子兜太(とうた)さん(97)、いとうせいこうさん(55)とともに選者を務めたのを機に「平和の俳句」に強く共感。「この一冊を『これは軽やかな平和運動です』というお二人の志へのささやかな参加表明としたい」と宣言している。 (矢島智子)
句集は、夏井さんの率いる俳句集団「いつき組」が年に四回発行している俳句新聞の付録として十月に発行された。ライブでの選句を通して「もっといいものができるはずだ」と挑戦する意欲がわき起こり、三十句からなる句集となった。

<一本の百合(ゆり)のごとくに戦わぬ>
<鷺草(さぎそう)千羽ダッカの空へ放ちたき>
<野分来る吾(われ)は一本の旗である>
<寒月の澄むや死のこえ貝の声>
<ミサイルをたんぽぽ弾で撃ち落とす>

「句集にはシュプレヒコールのような句は一つも入れていません。(声高に叫ばなくても)主張を溶け込まし、思いをくみ取れる作品はできるはず」と夏井さん。ダッカの句は「鷺草」が題として出された句会で詠んだ。この夏、バングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件のニュースに触れて、もやもやしていた気持ちを吐き出した。
元中学教員であり、俳人になっても教育の場に関わってきた夏井さんは、俳句で平和教育ができるのではないかと考えている。「俳句のもつ想像力は有効だと常々思ってきました」
夏井さんの熱い志の詰まった一冊を読んだ金子さんは「手本を示してくれた」と歓迎。いとうさんは「ありがたいですね。若い人、戦争体験のない人がこれをみれば句を書けるんじゃないか」と話した。
句集は単独では販売しておらず、入手するには俳句新聞の年間購読が必要。問い合わせは、マルコボ・コム=電089(906)0694=へ。

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「平和の俳句」への投稿を募集しています。はがきの裏面に1句を記入。同じ面に住所、氏名(振り仮名)、電話番号、年齢、職業を明記し、〒100 8525 東京新聞文化部「平和の俳句」係へ。投稿は未発表の自作の句に限り、季語のない句も受け付けます。ペンネーム不可。よろしければ背景にある体験、込めた思いなどをお書き添えください。