憲法審査会 極論排し建設的議論を - 毎日新聞(2016年11月18日)

http://mainichi.jp/articles/20161118/ddm/005/070/034000c
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1年5カ月ぶりに衆院憲法審査会の議論がきのう始まった。昨年6月に自民党参考人らが安全保障関連法案を憲法違反と指摘して以来、休眠状態だった審査の再開である。
これに先立ち参院でも行われた。今夏の参院選の結果、憲法改正を容認する勢力が衆参両院で3分の2を超え、改憲が現実性を帯びるなかでの議論となる。
安倍晋三首相は今臨時国会の所信表明で「(憲法改正)案を国民に提示するのは国会議員の責任だ」と改憲への意欲を示し、憲法審査会での具体的な改正条項の議論を促した。
改憲へ突き進もうとする首相に対し、野党第1党の民進党は「立憲主義憲法の定義についての議論が必要だ」と制してきた。何から議論するかでまず温度差があった。
衆院憲法審査会で与党筆頭幹事の自民党中谷元氏は「『改正ありき』の改正項目の絞り込みではなく、改正の要否の観点から議論を深めていく」と語った。
民進党武正公一氏は「立憲主義が揺らいだ今こそ、議論を深めるための土俵づくりが改めて必要だ」と立憲主義に立脚した議論が必要だと重ねて主張した。
中谷氏の発言は、与野党の対立を先鋭化させず、落ち着いた雰囲気のなかで議論を進めたいという気持ちの表れだろう。民進党が主張する立憲主義の重要性も確認した。
憲法の3大原則である国民主権基本的人権の尊重、平和主義を守ることに与野党とも異論はないだろう。共通の土俵を確認できれば極論を排することにもつながる。