満蒙開拓伝承「多くの人に」両陛下、阿智の記念館訪問 - 信濃毎日新聞(2016年11月17日)

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天皇、皇后両陛下は17日午前、満蒙(まんもう)開拓の歴史を伝える下伊那郡阿智村満蒙開拓平和記念館を訪問された。館内を巡り、元開拓団員ら4人と懇談。天皇陛下は80〜90代になった元団員らにいたわりの声を掛けた。満蒙開拓の歴史を語り続ける体験者らを「皆さんがつくった平和な日本です」「なお一層元気で頑張って多くの人に伝えてください」と励ました。
両陛下は午前10時半に滞在先の昼神温泉郷の旅館を出発。記念館では河原進館長(70)=下伊那郡喬木村=の出迎えを受けた。両親が開拓団員だった副館長寺沢秀文さん(62)=同郡松川町=の説明を聞きながら、館内を約20分間にわたり見学した。
寺沢さんは、元水曲柳(すいきょくりゅう)開拓団の両親から伝え聞いたことを交えながら、開拓団がたどった苦難の歴史を紹介。送出した背景は「農村の貧困とソ連からの国防のため」と説明すると、天皇陛下は何度もうなずき「農村の被害が大きな問題だったと聞いておりますが」と話した。
懇談したのは、元水曲柳開拓団員の桜井こうさん(92)=飯田市、元河野村開拓団員で集団自決から1人生き残った久保田諫(いさむ)さん(86)=下伊那郡豊丘村、元満蒙開拓青少年義勇軍の湯沢政一さん(86)=飯田市。寺沢さんも加わり、両陛下と約20分間話した。天皇陛下が歴史を語り継ぐよう望んだことに、久保田さんは「戦争を再びしないよう願って、伝えていきたい」と話した。