「再犯者率、過去最高」のカラクリ 犯罪白書でミスリード報道相次ぐ(楊井人文さん) - 日本報道検証機構代表・弁護士(2016年11月15日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20161115-00064334/

朝日新聞は11月11日、デジタル版で「刑法犯の検挙人数、戦後最少を更新 再犯率は過去最高」と見出しをつけ、法務省が発表した今年度の犯罪白書について報じた。しかし、見出しの「再犯率」は「再犯者率」の誤り。再犯者率とは、刑法犯で検挙された者のうち再犯者が占める割合を意味し、前歴のある者のうち再び犯罪を行った者の割合(再犯率)とは全く異なる。実際は、検挙された初犯者が再犯者を上回るペースで減少しているため、検挙された再犯者の実数は減っているが、「再犯者率」が上昇しているにすぎない。
朝日新聞だけでなく、読売新聞やNHKニュースも、検挙された再犯者が減少していることに触れずに「再犯者率」あるいは「再犯者の割合」が過去最高になったと報じていた。法務省が11日発表した犯罪白書(来月刊行予定)によると、昨年一年間刑法犯で検挙された初犯者は12万4411人(前年比マイナス6.3%)で、再犯者は11万4944人(同マイナス2.9%)。全検挙者のうち再犯者数が占める割合(再犯者率)は48%だった。初犯者は過去最高だった2004年の25万0030人と比べると半分以下に減少。再犯者も2006年の14万9164人をピークに年々減少している。

(関連サイト)
刑法犯の検挙人数、戦後最少を更新 再犯者率は過去最高 - 朝日新聞(2016年11月15日)
http://www.asahi.com/articles/ASJCB64W7JCBUTIL038.html
http://megalodon.jp/2016-1115-2241-41/www.asahi.com/articles/ASJCB64W7JCBUTIL038.html

法務省は11日、昨年の犯罪件数や傾向などをまとめた「犯罪白書」を公表した。刑法犯の検挙人数は23万9355人で、3年連続で戦後最少を更新した。このうち再犯者数は11万4944人。前年より3千人以上減ったが、検挙人数に占める割合でみると、過去最高の48・0%だった。犯罪をさらに減らすには、再犯防止が課題となっている。
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11日に配信した「犯罪白書」の記事の見出しで、「再犯率過去最高」とあるのは、「再犯者率過去最高」の誤りでした。「再犯率」は、一般的には一度検挙などをされた人のうち再び罪を犯した人の割合で、今回の白書の「再犯者率」は刑法犯で検挙された人のうち再犯者が占める割合です。訂正しておわびします。