高江ヘリパッド差し止め訴訟:住民側、仮処分に期待 - 沖縄タイムス(2016年11月13日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/70929
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米軍北部訓練場で進むヘリパッド建設工事に反対する東村高江の住民が起こした、「高江ヘリパッド差し止め訴訟」。10日に第1回口頭弁論が開かれ、住民側と国側が主張をぶつけ合った。だが、7月から本格的に始まった工事は12月にも終わる予定で、判決が間に合わない可能性が高い。住民側は、判決前に一時的な決定が下る仮処分に工事差し止めの望みを託す。(社会部・国吉聡志、北部報道部・城間陽介)

「双方、仮処分に全力を注いでほしい」。10月20日、住民側が工事禁止を申し立てた仮処分の第1回審尋で、那覇地裁の森鍵一裁判長が双方に呼び掛けた。国側には「騒音測定のデータがあれば、速やかに出してほしい」と求めている。
森鍵裁判長は24日の第3回審尋で、国側の反論を聞き、追加の主張がなければ結審したい考えを示した。住民側の小口幸人弁護士は「裁判所も、完成前に仮処分の結論を出す必要があると感じている」と読む。
政府は、現在建設を進めている四つのヘリパッドを12月中に完成させ、北部訓練場の年内返還を実現させる構えだ。防衛省関係者によると、7月に着手したN1地区2カ所はほぼ完成し、G、H地区も円形に木々の伐採は終わり、工事は最終段階を迎えているという。
横田達弁護士は「抑止力や軍事戦略と関係なく、騒音で高江住民の人権が侵害されているかが訴訟の焦点。侵害が認定されれば、工事は止まる」と指摘する。
仮処分で一時差し止めが認められなければ、工事を止める法的手段はなくなり、ヘリパッドは完成する。それだけに原告が仮処分にかける期待は大きい。
原告の屋良洋子さん(64)は「ここで諦めてしまったら終わり。現場に駆けつけ声を上げてくれる人もたくさんいる」と前を向く。石原理絵さん(52)は「オスプレイが飛び交う下で暮らしはどうなるのか。こちらの訴えをちゃんと受け止めて判断することを信じたい」と裁判官に訴えた。
横田弁護士は冷静に語った。「裁判官は騒音被害の実態に興味を示しており、勝機は十分ある。あとは、国の反論を待つだけだ」