違憲状態、16件中10件…高裁判決出そろう - 毎日新聞(2016年11月8日)

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◇7月参院選…名古屋は「合憲」

1票の格差」が最大3.08倍だった7月の参院選を巡り、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁(孝橋宏裁判長)は8日、選挙区の区割りを「合憲」として請求を棄却した。これで16件の高裁判決が出そろった。都道府県を選挙区の単位とする区割りを見直し、合区に取り組んだ国会の対応をどう評価するかで判断が分かれ、違憲状態10件、合憲6件となった。いずれも原告側が上告し、最高裁が来年にも統一判断を示す見通し。

最高裁は最大格差が6.59倍だった1992年参院選を初めて違憲状態とした後、5倍前後だった95年以降の選挙は5回連続で合憲とした。しかし、2010年選挙(最大格差5.00倍)と13年選挙(同4.77倍)で「参院も投票価値の平等の要請に十分配慮することが求められる」として都道府県単位の区割りの見直しを国会に要請。今回選挙で「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区などが行われた。
違憲状態とした判決は、仙台高裁秋田支部が合区導入後も「都道府県単位の選挙区を基本的に残している」とするなど、いずれも国会の対応が不十分とした。ただ、19年選挙までに制度を見直す方針が示されていることなどから、13年選挙の高裁判決で3件あった違憲判断はなくなった。

一方、10年選挙で5件、13年選挙で0件だった合憲判決は6件に増えた。いずれも5倍前後で推移していた格差が合区などで改善したことを評価。名古屋高裁は、国会の対応について「投票価値の不均衡を正当化する特別の理由がある」とし、高松高裁は「都道府県を単位とすることは相応の合理性がある」とも指摘した。
8日に記者会見した原告側の升永英俊弁護士は一連の判決について「極めて不満な結果。裁判所が『憲法は人口比例選挙を要求している』と言わない限り解決しない」と話した。【島田信幸、金寿英】