<大川小訴訟>6票差控訴可決 難しい判断 - 河北新報(2016年10月31日)

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宮城県石巻市議会は30日の臨時会で、市から提出された大川小津波訴訟での控訴関連議案を4時間近い審議の末に6票差で可決し、市の方針に賛同した。最大会派のニュー石巻(12人)と創生会(5人)は同一会派内で賛否が割れるなど、各議員は難しい判断を迫られた。(1.4.27面に関連記事)
遺族ら約100人の傍聴人が見守る中、臨時会は午後1時開会。議員4人が緊急質問し、亀山紘市長に対し仙台地裁判決を不服とする理由を繰り返し尋ねた。
地裁判決が「7分間で裏山に避難できた」と認定したことなどについて、亀山市長は「教職員にあまりにも大きな責任を負わせている。学校防災にも重大な影響を与える」と控訴に踏み切る理由を述べた。
訴訟関連費600万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案など2議案は午後6時半ごろ、欠席者2人と議長の計3人を除く26人で起立採決が行われ、賛成16、反対10の賛成多数で可決された。
市議会5会派の対応は自主投票、賛成、反対と三つに分かれた。自主投票の最大会派ニュー石巻で、賛成した阿部欽一郎議員は「指定避難所の学校からさらに避難する場合、行政側の責任が問われることを懸念している」と指摘した。
賛成の共産党市議団(2人)の水沢冨士江議員は取材に対し「判決を徹夜で読み、市民の意見も聞いた上で賛成は致し方ないと判断した。亡くなった先生方の過失とするのは酷だ」と話した。
反対した高橋憲悦議員(ニュー石巻)は緊急質問で「判決から2日後の28日に市の控訴方針が明らかになり、憤りと失望を禁じ得ない」と批判。亀山市長は「判決は市の主張と異なっており、27日に代理人弁護士らと話し合って決めた」と答弁した。
一方、山口荘一郎議員(創生会)は市の考えに理解を示しつつ、「児童の命が亡くなった事実は大きい。市には大きな責任がある」として反対に回った。
丹野清議長は閉会後「市民に対する立場などを考えると、各議員は相当苦労しただろう」と語った。