戦中の実態を後世に残す 「戦争遺跡」保存活動を紹介:神奈川 - 東京新聞(2016年10月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201610/CK2016101802000147.html
http://megalodon.jp/2016-1018-0939-16/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201610/CK2016101802000147.html

先の戦争の悲惨さを後世に伝える「遺跡」の保存活動に取り組む川崎や横浜市内の団体が二十二、二十三の両日、川崎市中原区の市平和館で、その活動内容を紹介する「戦争展」を開く。団体の関係者は「戦争中の出来事を次世代に伝えたい」と話している。 (山本哲正)
戦争遺跡には、広島市原爆ドームのように戦争で被害を受けた建物のほか、戦争のために造られた施設などもある。現在の川崎市多摩区にあった旧日本軍の登戸研究所などがこれに当たる。
登戸研は生物・化学兵器の開発などをしていた。戦後、川崎市などの高校生らによる調査に元研究員らが重い口を開き、その実態が知られるようになった。明治大学は二〇一〇年、生田キャンパスに残る遺跡を活用して平和教育登戸研究所資料館を開設した。
登戸研究所保存の会」は二〇〇六年に多摩区民らで結成され、資料館のガイドのほか、絵本「秘密にされた登戸研究所ってどんなとこ?」を発行したり、登戸研の活動を伝える朗読劇を上演している。
戦争展は、この保存の会のほか「みやまえ・東部62部隊を語り継ぐ会」「川崎中原の空襲・戦災を記録する会」「日吉台地下壕(ごう)保存の会」などの活動が写真パネルや資料などで紹介される。
戦争展は、これらの団体などが実行委員会をつくり、開催する。実行委の代表で中央大学名誉教授の姫田光義さんは「各地の戦争遺跡の保存活動は、何らかの政治的意図ではなく、登戸研での高校生のように市民の熱意で始まり、これまで続いてきた。戦争展が、その活動を知り、参加するきっかけになってほしい」と、来場を呼び掛けている。
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二十三日は、午前十時から、法政大学第二中・高等学校教諭の遠山耕平さんが「高校生と一緒に登戸研究所を掘りおこす」、また、慶応大学准教授の都倉武之さんが「大学は戦争のなにを<引き継ぐ>のか」と題して発表する。
また、同日午後一時から、平和教育登戸研究所資料館の館長、山田朗さんの基調報告や、戦争展に参加する四団体によるシンポジウム「次世代に伝えよう 地域の戦争遺跡!」(定員百人)が行われる。入場無料。
市平和館は、中原区木月住吉町三三の一。東急元住吉駅や、東急、JRの武蔵小杉駅から徒歩十分。問い合わせは、登戸研究所保存の会=電044(911)2726=へ。