合区でも違憲状態 7月参院選「解消不十分」 高裁岡山支部判決 - 東京新聞(2016年10月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101502000135.html
http://megalodon.jp/2016-1015-1651-08/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101502000135.html


「一票の不平等」が最大三・〇八倍で実施された七月の参院選は選挙権の平等に反し違憲だとして、岡山県有権者が選挙の無効を求めた訴訟の判決で、広島高裁岡山支部は十四日、初めて導入された二つの合区による不平等是正策でも「違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態が残っている」として、違憲状態との判断を示した。格差縮小に向けた国会の取り組みには一定の評価を示し、無効請求は棄却した。原告側は即日上告した。 
二つの弁護士グループが全国十四の高裁・高裁支部に起こした一連の訴訟で初の判決。合区解消の動きが浮上する中、さらなる投票価値の平等化を国会に迫った形で、次回参院選の制度改革の議論に影響を与えそうだ。
松本清隆裁判長は人口の少ない隣接選挙区の合区によって二〇一三年参院選の四・七七倍から格差を縮小させた国会の是正策を「都道府県を選挙区の単位とする仕組みを極力維持し、最小限の合区で是正を図ったものだ」と指摘。「著しい不平等状態を解消するには不十分なものと言わざるを得ない」と判断した。
また、参院議員の地域代表的な性質は投票価値の不平等を容認する理由にはならなくなっていると言及。合区の制度を採用する以上、合区の対象となる地域とそれ以外の地域間で不公平さが生じるとしても「著しい不平等を正当化するものとはいえない」とした。
ただ、合区導入などによる格差縮小に向けた国会の努力自体は一定程度評価。新たな選挙区設定には「多くの検討課題があることは認めざるを得ない」と理解を示し「不平等状態の解消に至らなかったのが国会の裁量権を超えて違法とまではいえない」と結論付けた。
今回の参院選は「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区として実施した結果、議員一人当たりの有権者数が最も少ない福井選挙区と、最多の埼玉選挙区との間で生じた格差は三・〇八倍だった。