いじめ 重大事態、明確化へ 「教職員の情報共有は義務」 有識者会議案 - 毎日新聞(2016年10月13日)

http://mainichi.jp/articles/20161013/ddm/041/010/097000c
http://archive.is/2016.10.13-004714/http://mainichi.jp/articles/20161013/ddm/041/010/097000c


いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)に基づく施策の見直しを検討している文部科学省有識者会議は12日、議論のとりまとめ案を示した。いじめによって心身や財産に大きな被害を受ける「重大事態」の定義があいまいなため、複数の具体例を示して重大事態の範囲を明確化すべきだとした。いじめ防止法が義務づけている教育委員会や学校の調査についても進め方を定めたガイドライン(指針)を策定するよう文科省に求めた。【佐々木洋】
有識者会議は次回24日の会合で議論をとりまとめる予定。文科省は年度内にいじめ防止法に基づき定められている国の「いじめ防止基本方針」の見直しや指針の策定をする。与野党の国会議員も法改正の必要性の有無を検討する。いじめ防止法は、重大事態を(1)心身や財産に重大な被害が生じた疑いがある(2)相当の期間、欠席を余儀なくされている疑いがある−−と定義。教委や学校に速やかな調査を義務づけている。
有識者会議は(1)の「重大な被害」の定義があいまいで、重大事態として扱われないケースがあると指摘。第三者委員会の調査が遅れたり、委員の人選などを巡って保護者の意向が反映されない場合もあるとして統一的な指針の策定を求めた。
ただ、委員の中には重大な被害について加療日数や被害金額で線引きすれば、逆に深刻な被害を見逃す恐れもあるとして慎重な検討を求める声もあった。
とりまとめ案には、いじめの情報共有はいじめ防止法に基づく義務であり「教職員が対応を怠ることは地方公務員法上の懲戒処分となり得ることを周知する」との文言も盛り込まれた。しかし、委員からは「法律上の規定はその通りだが、図らずもそうなった場合に懲戒処分を受けるのは厳しい」との声も上がった。