解雇された障害者が提訴 習志野市に取り消し求め - 東京新聞(2016年10月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101202000135.html
http://megalodon.jp/2016-1012-0905-40/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101202000135.html

千葉県習志野市に正規職員で採用され、試用期間終了直前に解雇された障害者の男性(28)が十一日、「解雇は不当だ」として、市に解雇の取り消しなどを求める訴訟を千葉地裁に起こした。
訴状などによると、男性は生まれつき左足が不自由で障害者手帳4級の認定を受けている。昨年六月に障害者枠で一般事務職として市に正規雇用された。当初は六カ月だった試用期間が三カ月延長され、試用期間が終わる直前の今年二月末に解雇された。
市によると、男性は、介護保険課と総務課で働いた際、データの入力漏れやレコーダーの文字起こしなどで誤りがあったという。市側は「健常者と同じ事務能力がある前提で採用したが、能力が基準に達しなかった」と解雇の理由を説明。
男性側は「解雇されるほどのミスではない。働く環境の整備を怠り、適切な指導もなかった」と主張している。
習志野市の宮本泰介市長は「訴状を確認したうえで、しっかり対応する」とのコメントを出した。

◆「市民のため働きたい」
「解雇取り消しが認められたら、習志野市民のために働きたい」。男性は提訴後に記者会見し、裁判への期待を語った。
生まれつき左足が不自由な男性は小中高校と普通学級に通い、昨年春に関西の大学を卒業した。「利益を追求せず、人のために働ける」と公務員を志し、習志野市の一般事務職員の障害者枠に応募し、合格した。
半年間の試用期間中、介護保険課でデータ入力や窓口対応などを担当。接客が苦手で入力ミスもあったため、試用期間が三カ月延長された。その後、総務課では国勢調査の事務、会議の設営・記録などを担当。「大きなミスなくできた」と感じていたが、試用期間が終了する直前に解雇された。
復職を強く求めたが、労使交渉は不調に終わった。復職が目的のため、男性は「裁判で勝つしかない」とアルバイトで生計を立て、訴訟の準備を続けてきた。
男性は「障害があっても、できることはいっぱいある、復職できれば、他の障害者のためにもなると思う」と話した。 (服部利崇)