(東京五輪)五輪組織委を「監理団体」に、都が要請 小池百合子知事が掲げる「大会運営の透明化」に向かうか - 産経ニュース(2016年9月28日)

http://www.sankei.com/politics/news/160928/plt1609280005-n1.html
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2020年東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長)の監督を強化するため、東京都が組織委に対し「監理団体」の指定に応じるよう要請をしていたことが27日、関係者への取材で分かった。指定されれば、組織委の収支に対する都の調査権限が強まり、小池百合子都知事が掲げる「大会運営の透明化」に向けた一歩となる。有識者による都の調査チームも29日開催の都政改革本部で、組織委への関与強化を小池知事に提言する。
組織委側はすでに国際オリンピック委員会(IOC)から強い関与を受けていることなどを理由に、都の監理団体化に難色を示しているとされ、交渉は難航も予想される。
組織委をめぐっては、エンブレムの白紙撤回をきっかけに「閉鎖的」との批判が相次いだほか、大会運営費の膨張に対する懸念が広がっている。
小池知事は「利権や不正によって不当に高い経費負担を都民に強いていないかをチェックし、改善する」として、都政改革本部内に調査チームを設置。組織委幹部への聞き取りなどを行ってきた。
都によると、組織委は平成26年1月、都と日本オリンピック委員会(JOC)が1億5千万円ずつを拠出して発足。都は同年6月に57億円を追加投入し、出資比率は97・5%に及ぶが、IOCなど他団体の関与が強いことを理由に、都が指導監督を行う監理団体には指定していない。
だが、都側は、大会運営を担う組織委がスポンサー収入で運営費をまかなえず、最終的に赤字に転落した場合には、都と国が公費を投入して損失補填(ほてん)することになっている点を問題視。調査チームも29日、情報公開が不十分などとして、組織委への都の関与を強める必要があるとする提言を行う方針を固めた。
ただ、監理団体の指定には、都と組織委の双方の合意による協定の締結が不可欠。組織委は都から拠出された57億円の返還の検討を始めるなど、都の出資比率を下げることで、都の監督強化の動きを牽制(けんせい)する狙いもあるとみられ、調整の行方は不透明だ。

【用語解説】監理団体
東京都が出資する団体や、継続的に財政・人的支援を行う団体のうち、全庁的に指導監督を行う必要があると判断した場合に指定。監理団体の事業、収支などに関して調査を行ったり、報告を求めたりすることができる。指定は都の総務局長が行うが、団体との間に「業務運営に関する協定」を結ぶ必要がある。他団体による関与が強く、都が指導監督する範囲が狭い場合には指定しないとする除外規定があり、組織委員会は現在、運営状況の報告にとどまる「報告団体」と位置付けられている。