内閣法制局 安保法決裁「5月0日」 適切な審査か疑問 - 東京新聞(2016年9月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016092702000132.html
http://megalodon.jp/2016-0927-0948-47/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016092702000132.html

安全保障関連法を巡り、内閣法制局が昨年五月十四日の閣議決定前に内容の審査を終えて決裁した日を「五月〇日」と記載した文書を作成していたことが分かった。法制局の担当者が二十六日、民進党の会合で事実関係を認め「記載ミスで大変申し訳ない」と陳謝した。文書は既に「五月十四日」に修正したという。
安保法は、戦後長い間、憲法解釈上認められないとしてきた集団的自衛権の行使を閣議決定による解釈変更で解禁した。憲法学者らは違憲と指摘しており、文書のずさんな記載が判明したことで、実際に適切な審査が実施されていたのか疑問視する声が高まる可能性もありそうだ。
法制局によると、情報公開請求を受けて文書を開示した際、安保法の審査を正式に受け付けた「受付日」は空欄のままで、決裁日は「五月〇日」にしていたという。
富山市の吉田憲子さん(69)が昨年九月、「法案審査の過程を知りたい」と法制局に情報公開請求して判明。吉田さんは「きちんとした事務手続きを踏んだのか疑問だ。結論ありきで推し進める現政権の姿勢が出ている」と話している。
辻元清美衆院議員は会合で「無理に無理を重ねた法案の結果が表れているのではないか」と指摘した。
法制局は法制面から内閣を補佐する政府機関。政府が提出する法案や政令案、条約案が憲法に違反していないかなどを審査している。安保法は昨年九月に成立、今年三月に法施行された。