墓穴掘った「空洞=作業場」 - 日刊スポーツ(2016年9月20日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1712604.html
http://megalodon.jp/2016-0920-1427-21/www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1712604.html

都知事小池百合子が、リオパラリンピックの閉会式に向かうと、築地市場からの移転が延期された豊洲市場の建物の下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題について、18日、それまで沈黙していた「都幹部」が匿名で「建物下の空洞は土壌汚染が再び見つかった場合に備え、パワーショベルが作業できる場所とする目的」と言い出し、各紙が一斉に報じた。また「対策は十分だが、万が一、土壌汚染問題が再発した場合のリスクヘッジを講じておく必要があるのではないか」という声が庁内にあったという。
★あたかも一定の説得力があるかのように報じられているが、庁内にも広く伝わっている話でもなく、一部の共通事項で進める話でもない。そもそも不安を抱えながら進めること自体、移転という大方針に間違いがあったことを隠すための方策と思われても仕方がない。随分と立派な理由があったのならば、「都幹部」はまず小池やプロジェクトチーム、技術会議や専門家会議の面々にもその一部始終を報告すればいい話だ。
★のみならず直ちに「都幹部」は都民に対して会見を開き報告すべきだろう。新聞にいきさつを語る前に、やるべきことはたくさんあったのではないか。つじつま合わせと都合のいい説明をして合理性を高めようとしたのだろうが、墓穴を掘ったにすぎないのではないか。他の都道府県は、食糧費問題、カラ出張、官官接待といった不祥事に、軒並み悩まされ、その時に情報公開なり、透明な行政の重要性を学んだ。財政危機を経験した道府県も少なくなく、予算査定は細かく、厳しい。東京都だけが、官官接待問題と無縁で、財政危機もほぼ経験していない。危機管理能力の欠如のつけは大きい。(K)※敬称略