豊洲市場3棟予定価格、ゼネコンに聴取後400億円増 - 朝日新聞(2016年9月16日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ9H5QRTJ9HULZU007.html
http://megalodon.jp/2016-0916-0740-10/www.asahi.com/articles/ASJ9H5QRTJ9HULZU007.html

東京都の築地市場中央区)が移転する予定の豊洲市場江東区)の主要建物3棟の建設工事で、1回目の入札不調後、都当局が入札予定の大手ゼネコン側にヒアリングを行い、積算を事実上聞いていたことが、都幹部や受注ゼネコン幹部の証言で分かった。その後の再入札で3棟工事の予定価格が計407億円増額され、いずれも予定価格の99%超で落札された。
また、受注ゼネコン幹部は「再入札前に予定価格を引き上げるから落札してほしいと都側からヒアリングとは別ルートで要請があり受け入れた、と社内で説明を受けた」とも証言した。都幹部はこうした要請を否定している。
都とゼネコン側のなれ合いの中で建設費がつり上がっていた可能性が浮かび、小池百合子都知事が発足させた「市場問題プロジェクトチーム」の調査でも解明のポイントとなりそうだ。

関連サイト)
東京・豊洲新市場/工事受注のゼネコン17社 都OB64人天下り/「入札情報でやりとり」証言も - しんぶん赤旗(2014年5月14日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-14/2014051401_04_1.html
http://megalodon.jp/2016-0918-1032-09/www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-14/2014051401_04_1.html

解説
大型工事あてこむ癒着温存
大型工事発注企業への都OBの天下り癒着は、バブル経済期に新都庁舎、東京国際フォーラム建設、臨海副都心開発などを手掛けた鈴木都政時代(1979〜95年)に顕著となり、現在も温存されています。
本紙の12年2月時点での調査では、豊洲新市場工事を受注したゼネコンに在籍していた都OBは13社・40人でした。今回調査では17社・64人に増えています。
新市場建設をめぐっては、昨年11月の工事入札で4件中3件が不調となりました。都は2月に予定価格を407億円(65%)も引き上げて再入札を実施、落札率(予定価格に対する落札額の割合)は最高99・96%と異常な結果となりました。
江東区オンブズマンの会の鈴木康吉事務局長は「そうそうたる幹部が天下りしていますね。新市場の工事入札で都がゼネコンの要求を聞いて、工事発注額を大幅に引き上げたのは、OBを受け入れてもらっているという弱みがあるからではないかと疑わざるをえない」と語ります。
都は今後、20年東京五輪施設、大型幹線道路など大型公共事業を相次いで計画しており、都財政への影響が心配されています。
不要不急の大型開発の見直しとともに、利害関係のある企業への天下りを全面禁止し、癒着関係を断ち切ることが必要です。  (岡部裕三)